ABC

のいし/野石

玉石よりも大型で、割らなくても一塊で利用できる自然石。石組や石積として役立つもの。 山石や沢石の総称。

のいしづみ/野石積

@ 正しい形に仕上げた石にて積んだ壁。 A 野石で積んだ石積みのことではなく、切積石に対する言葉。 B 正しい形に切った石ではなく、不正に切った石をもってする積み方。

のいた/野板

鉋削りしてない板。

のうあみ/能阿弥

真阿弥の子孫。足利義教、義政に同朋として仕えた。 村田珠光(むらたじゅこう)に茶を習い、義政に珠光を推挙した。 能阿弥の子に芸阿弥、孫に相阿弥。

のうぶたい/能舞台

木割書「匠明」には、能舞台は京間(1間=6尺5寸)による三間四方、囃子方が座る 後座の奥行きは九尺、橋掛りの幅は七尺、長さは五間を3スパンに分ける。また 七間を3スパンにしてもよく、取り付け角度は八寸勾配、すなわち51度とする 、とあるそうだ。が、各地に散在する能舞台は舞台の幅を除いてまちまちで あるらしい。 不遇な生涯を終えた者の霊をまつるための祭礼は、芸能の発達に深く関係し、 そうした猿楽が大成したものが能になったという。能の舞台構造における異説は 多いが、橋かがりはこの世とあの世を結ぶ非現実への道であり、建築の説明では 音響効果のために舞台の下に埋設されたととれる大きなカメが、実は死者の埋葬の ためのカメであり、床下に死者を埋葬することで、その上を踏みならす鎮魂儀礼が 原形として能に伝承されたとも言われる。→
薪能




納めさせていただいた組み立て式の能舞台(薪能用所作台と高欄など)の加工図と、
一部をアクトシティのホールに広げているところ。

のうがくどう/能楽堂



小林建設さんの下請けで作らせていただいた豊田町の能楽堂

この能楽堂には、社寺でみかける「猪ノ目懸魚」が取り付けられている。 懸魚の下にある蛙が股を広げたような部材は「蟇股(かえるまた)」

のうらいた/野裏板

隠れる裏板。

のうれんし/暖簾師

〜 物よりも価のやすきにめでて買う者あれば、数あるものは必足らず、 又は初によき品を見せて価を定め、売りすます時は悪しきとかへなど、種々たじかり事する商人をいう。〜

のがく/野角

丸身付の角材にして七寸角以上のもの。それより小なるものは押角なり。

のき/軒

屋根の最も下部のこと。
(がぎょう/丸桁)柱の上にあって繋ぎ梁、垂木、束などを受ける。

のき/軒

数奇屋建築にあっては、雨仕舞として横樋をつけない趣向となる。

のきあししろ/軒足代

軒の工事をなすために取設けた足代。

のきいた/軒板

軒裏の板。

のきうら/軒裏

壁より出張たる軒の下面。

のきからはふ/軒唐破風

左右両端が照り中央部が起っている破風=唐破風が軒先の一部につけられたもの。 切妻造りに付けられると切破風(きりはふ)、入母屋造りに付けられると入母屋破風と 呼ばれる。

のきがらはふ/軒唐破風

切妻ではなくて軒から起る破風のこと。

のきがらみにじゅうやねからはふいりもやづくりやたい/
軒搦二重屋根唐破風入母屋造屋台




浜松市三島町様の屋台です。
大工 小池工務店=小池清、彫師 彫栄堂=早瀬宏、錺金具 宮村製作所=宮村茂史、車鍛冶 内藤鐵工所=内藤芳郎、銅板葺 河合板金=河合利和、電気 戸塚電気工業所=戸塚晴男、水引幕 京美刺繍工芸=片岡傳太郎。2009年(平成21年)に製作させていただきました。
二重屋根屋台には、出組ではないもの、狭間のないもの、屋根板金を葺いていないもの、屋根の形が違うものなど、様々なヴァリエーションがあります。なお、 「軒搦二重屋根唐破風入母屋造屋台」という名称は、浜松まつり会館にある市の屋台を建造させていただくときに浜松市から名称を訊かれたので、 小池清が考えて作った名前です。ですから単語の順番が変わるときもありました。ただ、二層屋根ではなく二重屋根であるとのことです。

のきがわら/軒瓦

「つつみがわら」。

のきげた/軒桁

軒の下にある桁。

のきさきうらいた/軒先裏板

軒裏の化粧板。すなわち軒の化粧板。

のきさきめんど/軒先面戸

軒端にある面戸板。

のきしきがわら/軒敷瓦

軒唐草瓦の下に敷ける平瓦をいう。敷平とも称す。

のきじゃばら/軒蛇腹

軒近くにある蛇腹のこと。

のきすみがわら/軒隅瓦

「隅唐草瓦」に同じ。即ち唐草瓦の中隅角にあるもの。

のきぞり/軒反り

石灯篭の笠にみられる勾配の程度。製作年代によって異なる。

のきづけ/軒付

茅葺などの屋根の軒に特に厚く葺きたる部分。

のきとい/軒樋

軒にある横樋。内樋、外樋など。

のきば/軒端

「軒先」に同じ。

のきめんど/軒面戸

軒桁上端の面戸板のこと。

のけ

のげつぎ。

のげた/野桁

総て隠れた位置にある桁。

のこうばい/野勾配

野地勾配のこと。

のこぎりあきない/鋸商い

行商の甲地の物産を乙地の臠ぎ、其資を持って又甲の物を買い、 来往共に利すること。鋸のだしひき共に物を切るが如きをいう。

のこぎりくずもいえばいう/鋸屑も言えば言う

「大鋸屑も言えば威張るる」に同じ。

のこまい/野小舞

隠れた位置にある小舞。

のぞき

破風などが垂直線よりは少し傾いてうつ伏せになること。

のぞきまど/覗窓

舞台の様子を見るために設けた小窓をいう。能舞台に在っては鏡の間にあり、「奉行窓」ともいう。

のじ/野地

屋根下地のこと。

のしいた/熨斗板

上より下に向けて張ってあり、かつ全面平坦なる板。

のしがたのくぎ

「樽の口金物」をいう。

のしがわら/熨斗瓦

棟用の平瓦をいう。「棟平瓦」とも称す。

のじぬき/野地貫

野地に用いる貫。

のしばめ/熨斗羽目

全面さすりなる竪板羽目をいう。横板のときは布羽目。

のしぶき/熨斗葺

檜皮葺の最上なるものにて檜皮を精製し葺き足を小にして葺く。

のすみぎ/野隅木

化粧隅木のある場合にそれと区別するために隠れた位置にある方を野隅木という。

のすじ/野筋

神輿の屋根にあって、露盤から蕨手にかけて接続する棟をいう。

のすじ/野筋

築山式の庭園にあって、築山の山腹、裾から平坦な部分へかけての区域。

のだるき/野垂木

野地垂木のこと。母屋桁の上に置いて屋根葺材を支える垂木。



野地垂木のことで、野地板(屋根)を葺くための下地(構造)材です。屋台妻側の前後にある唐破風と同じ凸(起り・むくり)と凹(照り・てり)の連続曲線からなる屋根を葺くために、野棟木から野桁にかけては凸状の野垂木、野桁から葺地にかけては凹状の野垂木、二種類の野垂木を組合わせています。 洋室の床は取外すことができませんが、和室の床は畳を取外すことができます。屋台の屋根は和室の畳のように、野地板と野垂木を屋根全体に対して数ブロックに分けて葺いています。野地板と野垂木は釘止めしていますが、野垂木と野棟木・野桁はその仕口にはめ込んであるだけなので、野垂木付きの屋根を取外したり組立てたりすることができます。ただし、銅板平葺きなどを施した屋根の場合は、屋根材をめくる必要があります。

のだて/野点

屋外自然の地で釜をかけ、枝葉を燃やし湯を沸かし茶を立てること。利休時代から行われていた。 野がけ、野がかり、柴火(しばび)、柴点(しばだて)、ふすべ茶湯。

のちざ/後座

能舞台の後方にして皷方などの座する所。

のてんじょう/野天井

天井板を二重張にした場合にその上の方を野天井といい、その板を野天井板という。

のづら/野面

挽割ったままの板の面。

のとぎ

蚩吻受けの束。

のにふしやまにふす/野に伏し山に伏す

「野に伏し山を家とす」ともいう。修験者旅行者の辛苦をいう。

ののかみ/野の神

萱野姫。日本神話に登場する鹿屋野比売神、草の神のこと。

のび/延

勾配の延とは殳と玄との差をいう。

のびと/延斗

隅肘木を受けるために設けた枡形にして矩形なるもの。

のぶち/野縁

隠れた位置に取付けた細長い木。

のべだん/展壇

茶室や寺院庭に適した石園路のひとつ。 展壇の壇は広がりのこと、展は展開するという意味。 出典は上原敬三『造園大辞典』。 展壇の「国立国会図書館サーチ」の検索結果0件。

のべだん/延段

短冊状の石園路。 金の延棒など平たく延ばされたという意味の延と、 階段など上下をあらわす意味の段。 延段の「国立国会図書館サーチ」の検索結果17件。

のべと/延斗

【組物】 隅肘木を持ち送るために隅肘木上に設ける斗で、平面は必ず長方形。→捨斗

のぼりうらごう/登裏甲

破風板の板の上の裏甲のこと。

のぼりき/登木

総て傾いた位置を有する木。

のぼりかさいし/登笠石

切妻屋根または階段手摺上などの笠石。

のぼりこうらん/登勾欄

水平ではない勾配になっている勾欄。

のぼりさんばし/登桟橋

足代の上方に登るために設けた傾斜道。

のぼりのき/登軒

破風に沿う、すなわち勾配付の軒。「そばのき」に同じ。

のぼりのきづけ/登軒付

破風上の軒付。

のぼりよど/登淀

螻羽下にあって屋根勾配に沿う淀のこと。

のみ/鑿



木材にホゾ孔を掘ったり、凸凹をつける細工に用いる道具。
大工の道具は、大は小を兼ねることができない性格なので、 刃幅の寸法別だけでも数十本は必要になる。彫師にあっては 百本以上の鑿を使いこなす。なぜそんなに必要になるかというと、 大工も彫師も、仕上げの綺麗さを競うためである。

鑿には大きく分けて、玄翁で叩いて使用する叩き鑿と、手で部材を削る 突き鑿がある。その形状もさまざまである。


のみかくし/鑿隠

ほぞ幅と元木の幅との差があるときその差の部分をいう。

のみぎり/鑿切り

石面仕上げの一方。端の尖った鑿にて石面を平行にかつ斜めに缺とり平面に近くしてただ平行溝を現出した仕上げ。

のみこみ/呑込

入込に同じ。煉瓦の「呑込」は壁中への入込なり。

のみたて/鑿立

板を張ってゆくときに板間に隙間が開かないように、鑿を立ててこじて板を密接させること。

のみといえばつち/鑿と言えば槌

諺。

のみはあかがし、げんのうはしらかし/鑿は赤樫、玄翁は白樫

特徴の違いから、鑿の柄は赤樫で作る、玄翁の柄は白樫で作ることが多い。 (木創工房森童の小坂さんとお話しているときに出てきた言葉。→「なるほど、そーゆうことですか」と私)

のむね/野棟

隠れる棟木。

のむねづか/野棟束

野棟を受ける束。

のもや/野母屋

かくれたる位置にある母屋をいう。傍軒などに現れる母屋は化粧母屋なり。

のり/法

鉛直を基準とした傾斜の度合

のりはぎ/糊矧

糊にて板などを矧くこと。建具または指物に用いることあり。

のろ/野呂

石灰を水に溶解したものを上塗りに用いること。

のろまいっすん、ばかさんずん/鈍間一寸、馬鹿三寸

戸障子の開閉についていうもの。

のんど/喉

指物職工は「缺首」のことを「喉」と称す。


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