かいおれくぎ/貝折釘
皆折釘とも書く。かいがた/貝形
築地の端の袴腰形の部分をいう。その左右の柱を貝形柱といい、その上にある桁を肩桁としょうす。かいがしらげぎょ/貝頭懸魚
かいぎ/階木
「きざはし」の段木をいう。かいけい/快慶
運慶の父康慶の弟子。東大寺の仏師。かいごろし/飼殺し
役に立てずして、終身養い置くこと。かいてんあたり/回転當
回転窓障子の當となる桟をいう。かいてんまど/回転窓
障子框の中央に軸を設置して回転出来る様にしてある窓。かいざんどう/開山堂
宗派や寺院を開いた僧の像や位牌などを安置した堂。祖師堂、御影堂、大師堂などともよび、浄土宗や浄土新宗では本堂よりも大きく、伽藍の中心になることもある。がいじん/外陣
神社の内陣の前にある間。かいせき/懐石
禅の世界で僧侶が寒さや空腹をしのぐために懐に入れる温石(おんじゃく)を意味。 →茶懐石かいせきりょうり/懐石料理
茶の湯の席で茶と一緒に味わうもの。禅寺ではじまった。→茶道かいせきりょうり/会席料理
いわゆる日本料理。江戸時代に生まれた(本膳料理の影響を受けて誕生した)宴会料理のこと。かいぞう/怪像
Grottesqu 翼のある女像、魚尾のある人像など想像的装飾的模型。かいだん/階段
上方に登るために設けた段々の構造物。木造階段は、全て板を組み合わせて作るべき。踏板の厚さは1寸。蹴込板は7分、おさまりは多種。裏に三角形の木片を釘と接着剤で取り付ける。 鼻飾りを取り付けるべし。
かいだんせき/階段席
大人数を収容する講堂等において、聴衆席が後方に至るに従い徐々に高くなり階段状をなすもの。かいのくちつぎ/貝の口継
かいろう/回廊
金堂や塔などの伽藍主要部を取り巻く建物のこと。かいをつくる/貝を作る
〜 かひをつくるとは、貝を造る音をいふにや、今昔物語に、顔を猶しかめて貝をつくりて泣けりと見ゆ 〜かうがい/笄
はりまかせの図をみよ。かえしくさび/返楔
一方より楔を打ち込んだ後に反対からも楔を打ち込む事を返楔という。かえしこうばい/返勾配
45度よりも急な勾配のこと。かえで/カエデ
バイオリンの背板に用いられる。音の善し悪しに影響する腹板は「トウヒ」で造られているが、オールドバイオリンの音色が冴えるというのは、木材の老化によってセルロースの結晶化が進み、材質が硬くなり弾性係数が大きくためであるという。もちろん材木はセルロースの崩壊も同時に進行しているので、その効果も200年ぐらいであるらしい。かえりなみ/返波
打ち寄せる波の端が後返りするような形。かえりばかんな/返刃鉋
指物師などが堅い木を削るために用いる鉋。かえりばな/帰花
春咲くべき草木の花の、冬季に咲きたるをいう。狂花。かえりびな/帰雛
離縁させられて家にいる女をいう。かえりわかば/返若葉
若葉の端の反り返る模様の一種。かえるまた/蟇股
日本建築の軒廻りその他に組物を用いる場合、斗束(この場合は高欄の斗束のことではない)と同様の箇所に用いる。虹梁と通し肘木の間などに用いる。板蟇股。寺社建築の柱と柱を繋ぐ長押の上にあって、桁と頭貫の間を支える。蛙が後ろ脚の股を広げたような形からこの名称がある。梁の上に乗って荷重を支える束の役割をする。 板状になった板蟇股は奈良時代よりあり、平安後期になると板蟇股の内側を彫り抜いた本蟇股(透し蟇股)が現われた。中備に用いられるが構造的な役割は担っておらず、外郭だけのものや、唐草文や動植物や人物を彫ったものへと意匠が凝らされていく。また、天平から江戸時代までデザインの変遷を続けてきたことから時代判別方の鍵になるという。単純な「人」という形に近いほど造られた時代は古く、彫刻が施され「なで肩」のものほど新しい(時代が下がるにつれて蟇股の形は足元が狭く背か高くなり肩が張ってくる)。屋台の彫り物では鍋蓋とも言う。
蟇股は中国の駝峯(だほう・駱駝の背中)が起源だとされています。蟇股は構造材の叉首(さす・合掌型方杖)や人字形割束が進化したもので、虹梁などの水平材の上に置く化粧材のことを指します。蛙が股を広げたような形状に似ていることからかえるまたといいますが、その蛙は毒を有し呪術的な威力があると信じられてきたがまがえる又はひきがえるでなければなりません。よって蛙股という漢字は使わず蟇股が用いられています。蟇股は時代の推移に伴い板蟇股と透かし蟇股(本蟇股)に変遷してゆきます。
かえるにょうぼう/蛙女房
夫より年長ぜる妻をいう。妻(め=目)が上という謎。かえるのめかりどき/蛙の目借り時
春の眠催す頃をいう。蛙が人の目を借りるよりねむたしとの意。かかえじこみ/抱仕込
柱へ梁などを取付ける場合に梁下端において一寸程図のように仕込む。かがみ/鏡
平面ガラスの裏側に錫と水銀の合金またはは銀を覆ったもの。 日本と中国の古鏡の合金は、銅80.88、錫8.45、鉛9.71 または 銅70.50、錫9.70、鉛6.80、亜鉛14.30、表面に水銀アマルガム。かがみ/鏡
能の道具。かがみ/鏡
總て平滑な面をいう。土蔵裏白戸の縁の内にある平面の漆喰塗りの部分も鏡。または天井の格縁あるいは廻り縁の間にある一枚板も鏡という。円形なるものもいう。かがみいた/鏡板
周囲に縁を廻して板を入れること。かがみてんじょう/鏡天井
天井面に一枚板を鏡のように平らに張った天井。杉や桧などの柾または木目のあるものを綺麗に削り上げて仕上げる。かがみのま/鏡の間
能舞台の橋掛りへ至る前の部屋。役者は出場する前にそこで待っているものとする。かがみばり/鏡張
鏡板張の略。かがり/鑼
縦挽鋸をいう。かき/垣
「かき」は「囲い」の約なりという。すなわち地を区別するため設けるもの。茨垣、生垣、葭垣、両面垣、竹垣、竹穂垣、葉総垣、四目垣、袖垣、瑞垣、建仁寺垣、網代垣、猿垣、柴垣、檜垣、菱垣、透垣などあり。かき/柿
「柿の木から落ちると三年しか生きない」「柿の木を植えると三年生きない」 「柿の木を蒔にすると火に祟る」「柿の種を火にくべると狂人になる」 「柿の種を蒔くと其の木に実の生える年に死ぬ」 「柿を食って茶を飲むと腰が抜ける」 以上、柿にまつわる俗説。 「柿の皮は乞食に剥かせ」柿の皮は薄く剥くをよしとする。かきしぶ/柿しぶ (柿渋)
タンニンには防腐作用や着色効果があるので、屋台彫刻にも塗布することがある。しぶを取るには柿の花が散ってから40日ほど経った頃がいい。柿が熟した頃になると油液が薄く 腐敗の恐れがある。採取は晴天の日の午前中が良く、雨天に良品を取ることはできない。 これを搾取するには柿蓑を臼に入れて搗き砕き、これに等分の水を加える…。以下省略
かぎあなかくし/鍵穴隠
戸などの鍵穴を隠すために取付けた飾金物。かきうち/缺打
木の幅程缺て取り付け釘打ちにする。ある木を他の木に取り付けるとき、 第一の木の幅だけ第二の木を描き取って釘打ちにする方法のこと。かきがらぶき/蠣殻葺
蠣殻を載せて造りたる屋根をいう。かきくび/缺首
図の様にえぐれたるたる形をいう。かきつける/掻付る
小舞竹等に縄を巻きつけることをいう。かきにみみあり/垣に耳あり
「壁に耳」ともいう。「垣に目あり」もあり。かぎくぎ/鉤釘
→鉄道の軌条で用いる大釘のこと。かぎのて/鉤の手
直角をいう。かきばい/蠣灰
蠣または蛤などの殻を焼いて製したものに石灰と共に壁塗に用いるもの。かきまゆ/缺眉
虹梁または破風等にある眉にして図のように缺いてあるものをいう。かく/掻く
小舞竹などを縄巻することをいう。故に小舞掻なる語がある。かぐ/家具く
イス、テーブル、飾り棚など室内に置かれる器具調度品のこと。かくおれくぎ/角折釘
山車の修理で必要な和釘の「角折釘」と「坪」を、ネットで調べた新潟県三条市の「火づくりのうちやま」さんで作っていただいた。かくこうし/角格子
「角連子」に同じ。かくこうしたまがき/角格子玉垣
角格子付の玉垣。かくさく/角柵
木造の柵の一種にして柵子に角材を用いたもの。丸太柵に対する。かくしくぎ/隠釘
忍釘ともいう。外部に見えないように打ってある釘。かくしこばね/隠小羽
こけら葺方の一種にしてその上等なるもの。竹釘を表面に顕すことなく重ねの下に隠して打つもの。普通のこけら葺には釘が顕れる。かくしこみせん/隠込栓
込栓の端の見えないようにしてあるときをいう。かくたまがき/角玉垣
角材を土台上に透かして立て貫を上下両方に通じて作りたる玉垣。各角材を「竪子」といいその上は兜巾とするのが普通。がくつか/額束
鳥居の島木と貫との間にある束。その前に往々縁を設置する。かくつくり/角造
木の横断面を方形若しくは矩形にしたものをいう。「笠木角造り」など。かくてつ/角鐵
横断面の四角形になる鐵棒。かくもの/角物
方材をいう。かくやらい/角矢来
竹を縦横に組み矩形なる隙間を有せしめて作りたる矢来をいう。菱竹矢来の隙間は菱形なり。がくどめ/額留
留め一種なり。5度に交わる留め。かくばしら/角柱
方柱なり、すなわち四角の柱なり。がくぶち/額縁
窓出入口などの周りにある化粧木をいう。かくぼり/角堀
四角形に根切りすること。かくれんじ/角連子
方形又は菱形なる連子をいう。菱形の連子のことを菱連子と称す。かけあわせぐみ/掛合組
欄間または障子の組子の特別なる配置にしてその竪子は全部もしくは一部途中にて切れるもの。図はその一部。かけいた/掛板
押入内などの棚板。かげいれ/蔭入
横材を縦材に取付ける場合に前者のほぞ以外の端を後者の面より五六分程進ませて図のようにすること。かけこみてんじょう/掛込天井・駆込天井
外の庇がそのまま室内に入った勾配のある化粧屋根裏天井の一種。略して「掛込み」かけど/掛戸
折釘を打ちそれに掛け置く戸をいう。かけかわら/掛瓦
登軒の唐草瓦をいう。すなわち蓑甲の端にあるものなり。かけがね/掛金
戸の繋がりに用いる環形の金物。写真は「坪」(つぼ)
(火造りのうちやまさんから納品した商品名)
「請壷」のことだと思います。
かけだし/懸出し
水面などに突出した建物の部分。かけしょうじ/掛障子
縁側に面する下地窓などにある障子にして折釘に垂掛ける物。かけはずしぶた/掛外し蓋
けんどんぶたを見よ。かけばな/掛鼻
屋台の部材。 柱上組子の上の丸桁の仕口に取付いて、二軒を支持する部材。 掛鼻が中梁と一体になっている場合もある。かけばな/掛鼻
掛鼻は、柱から突き出した部分に施された木鼻のことであり、その部分だけが別の木で造られていて、 蟻落しなどの仕口によって柱に取り付けられているものを指す。従って、下の写真のような木鼻を掛鼻と称することもある。 但し、屋台でいうところの掛鼻は、上の写真の部材を指すであって、下の部材は木鼻と言っている。かけひき/掛引
引違戸又は揚卸障子の重框を密接するように作りたるものをいう。かけひきかまち/掛引框
重框の掛引きをつけてあるものをいう。かけめ/掛目
目方に同じ。かけや/大槌
杭を打ち込むための大なる木槌。かげうらのもものきもときがくればはなさく/蔭裏の桃の木も時が来れば花咲く
時機到来すれば、人並みより後れたる者も心身発達するという。かこうせき/花崗石
「みかげいし」に同じ。かごみみ/籠耳
聞きたることを、すぐ忘れて耳に留めぬこと。かごめ/籠目
籠の目の如き模様。かけもの/掛物
掛軸のこと。床の間に掛けて室内の装飾にする。 一幅掛のものを孤幅、二幅掛のものを封幅という。かごばな/籠鼻
嗅覚の乏しいこと。かごぼり/籠彫
彫刻の一種にして、外郭のみを細かく彫って體の形を表す。 寺社仏閣の建築装飾に累々試みられている透し彫のうち、特に刻み籠のように間をあけて表裏に同様な模様が彫られている 特殊なものを指す。(題材として毬や鳥籠が彫られているから籠彫というわけではなく、外面だけでなく内面にも透し彫りを施している ことに特殊性がある) なお、この名称は、日本の工芸家が作った術語であるでという。写真は、製作中屋台彫刻の籠彫り。
このような彫り方の名称について彫師の早瀬宏さんにお尋ねしたところ、「特に名前はないけど、籠彫り」 というご返事。透かし彫りの一種ですかの問いには「そうじゃない」ということでした。
(写真の彫刻と早瀬さんは無関係です。 たまたまお越しになられたので質問してみただけ)
ついでに、ネットで「籠彫」を検索して、その一覧画像を早瀬さんに見ていただいたところ、「これは籠彫り(妙見寺の虹梁木鼻など)、これは 籠彫りじゃない」などと教えてくださった。最後に半田の山車の彫常作であるという手毬画像を見ながら、(限られた予算があるから)今じゃ ここまで手を掛けられる彫師はいないとねと、ためいきついて帰られて行った。
籠彫りは最も困難な技術ですが、伝聞によれば今の時代に木彫刻を学ぶ若い人にとっては、必修課目(?)なっているとか。
彫り物というのは、彫師がどこまで手を掛けられるかによっても、価値が大いに変わってくるようです。
かざあな/風孔
床下などの空気流通のため壁に開けてある穴。かさいし/笠石
石塀の上に乗る石。かさいた/笠板
戸袋などの上方の板をいう。かさぎ/笠木
板塀などの上部に蓋のように取り付けられた平たい板。手摺、鳥居などの上方の横木。「蓋木」とも書く。勾欄の架木もまたその一種である。上に笠となり居るという意味。かざきり/風切
桟瓦葺切妻屋根の螻羽近くにあって軒より棟まで達する一列若しくは二列の丸瓦をいう。かざきりあな/風切孔
千木にあいてる孔をいう。かざきりまる/風切丸
風切に用いる丸瓦を風切丸瓦又は風切丸という。かざしぐさ/かざし草
櫻の異名。かざなぐさ/風無草
柳の異名。かざみぐさ/風見草
柳の異名。かざみぐさ/香散見草
梅の異名。かざぬき/風抜
小屋内又は床下などの空気流通のため便宣の場所に設けた孔口をいう。かさねあいくち/重合口
石積などにおいて横目地の口元をいう。かさねほぞ/重ほぞ
りょうほぞ。かさねかまち/重框
引違戸を閉めたとき重なり合う框をいう。かさねめじ/重目地
石積または煉瓦積の横目地をいう。かざまど/風窓
風孔に同じ。かざりし/錺師
銅などの飾り金物の細工をする職人のこと。(飾り師)かざよけがっしょう/風除合掌
「うはくら」ともいう。下小屋などにおいて、こけら葺屋根等の吹飛ばされることを防ぐため丸太を合掌に組み屋根上の所々に設置することを風除合掌という。
かざりかなもの/錺金物
飾り金物は、飾り職人(錺師)が取り付ける部材を型取りしてから製作します。デザインは唐草系の植物文様が多いです。大唐破風のカーブに合せて製作し、眉から上の部分に取り付けます。
垂木の木口に取りつけた飾り金物
錺師に部位の名称を尋ねてみると、この角金物のように隅に位置するものは「キリ」と呼び、中ほどに位置するものを「チラシ」と呼び、文様は唐草で、菊ならば菊唐草、桐ならば桐唐草、牡丹唐草などと呼ぶとのこと。そして、横からみたトランプのスペードのような刳り抜きは「ユノメ」と。
しかし、こうした穴は、建築書などではひとくくりにして「猪の目(いのめ)」(トランプのハート型・心臓型)と書いてあるため、「猪の目では?」と質問してみると、「猪の目」は天平型金具のみに用いるとの返事。しかも「いのめ」という読み方ではなく「たわわのめ」とのこと。
大土台と二重土台に付けた飾り金物
土台木口
一般に錺金具は薄板のため、金具の切断面が手に刺さるなどして、ケガをすることがあります。しかし、厚板を使用し鋭角部分を少なくする加工を施すことで、その危険性を減らすことができます。
写真の錺金具は、真鍮製 厚さ3ミリ 毛彫(彫金) 磨き コーティング仕上。身体が触れやすい手木や土台の木口などの用途にお薦めしています。
大唐破風 漆塗り
垂木・木口
大唐破風の拝みの上に取り付ける飾り金物
擬宝珠金物
左=(金メッキを施した擬宝珠)と金メッキ釘
右=半擬宝珠のウラ・オモテ
大唐破風の破風尻に付ける飾り金物
大唐破風の飾り金物型取り作業
拝みの上に一枚、茨鰭の上に左右一枚づつ、破風尻に左右一ケづつ、合計5ケ取りつけます。破風板からひとつひとつ和紙で型を取ります。
架木
抽斗の取っ手 (引手)
かじ/鍛冶
鍛冶屋にまつわる諺 ⇒ 「鍛冶は居ながら飯を炊き、躄は居ながら尿を垂れる」、「鍛冶屋さん足で飯を炊き、手で金延ばす」 (鍛冶屋の好き職業なるをいう)、「鍛冶屋の明日、紺屋の明後日」(常に違約するをいう)、 「鍛冶屋の四五日、御医者の只今、坊さん追っ付け」(期に違うものをいう) 「鍛冶屋の歳暮のよう」(火箸の如く痩せ細りたる人をいう)、 「鍛冶屋の竹火箸」(紺屋の白袴と同じ意)、「鍛冶屋の晩げ」(晩には注文の品をこしらえ 置くべしと言って、その約束を破ること。紺屋の明後日と同類)、 「鍛冶屋の貧乏」(失費が多ければなり)、「鍛冶屋の朝晩」かし/樫
カシは同じく国産広葉樹のケヤキと比べると耐朽性はやや劣るものの、重硬にして強靭といえます。粘りがあって磨り減りにくいため、写真右のような車軸などに加工します。写真左は加工する前のカシ材(10年間ぐらい自然乾燥)。ほかには鼻栓や込栓、そして車輪、大工道具では玄翁の柄や、鉋の台などに使われています。かしのみのひとりご/樫の実の一人子
樫実の単一なるに譬えていう。かじをとる/楫を操る
人の機嫌を取るに喩う。かじとりそうち/楫操装置
ハンドルを操作すると歯車がラックを直線移動させ、ラックに連動して前輪が回転することにより梶が切れます。
ハンドル(棒)の操作によりピニオンが回転してラックを左右に直線移動させます。これにより連結された前輪の角度が変化します。 ピニオンとラックの間には運動のためのクリアランスがありますから、保管時など屋台の車輪を浮かしてある状態では、ラックとピニオンの遊びが大きくなっていることがあります。車輪を浮かせた状態でのハンドル操作にはご注意ください。
梶取歯車の鉄ケースからラックを吊っているので、 ラック受けを持たない梶取り装置。
梶取歯車が直接土台に取り付けてあるので、 ラック受けからラック(ラックのケース)を吊っている梶取り装置。
舵取り棒・梶棒
最近の鉄製ケースの付いた梶取用ギア装置。
かじとりそうち/舵取り装置
↓↓↓↓
⊥
滑って回転
T
‖- 前輪 -‖
二枚の円盤(ウス)にグリスを塗って重ね、円盤の中心に空けられた穴に軸を中心に、土台に固定された上側の円盤と前輪が付けられた梁に固定された下の円盤が回転することにより、屋台の進行方向を変えることができます。
左上の写真は木製の装置、左下の写真は鉄製の操舵装置と鉄製の前輪。 いずれもY字型の梶棒(やっこ)を取付けて操作します。
かじあとのくぎひろい/火事後の釘拾い
大消費の後に小節倹を行うに喩う。かしゅー/カシュー
ウルシの代わりに用いられることがある。かじのまえにはいえにねずみがいなくなる/火事の前には家に鼠が居なくなる
鼠は火災を察知するという。かしまとりい/鹿島鳥居
神明鳥居の一種なり。かしみややぎ/カシミヤ山羊
インドのカシミヤ地方に産する山羊。チベット山羊と同種類であるが、小さくて角が後方に曲がっている。 下部に生じる防寒用の毛は極めて柔軟にして細いため、カシミヤ、ショールの原料として用いる。かしめつける
鉄板などを鋲にて縫い合わせること。かしめびょう/かしめ鋲
金属板を接合するための鋲。「からくり鋲」に同じ。即ち「リベット」のことなり。かしらいた/頭板
畳縁下に差入れてある薄板。かしらぬき/頭貫
柱を互いに連結するため、柱頂に落とし込んだ横架材。中世に新式が伝わるまでは、頭貫と長押だけで建物の横揺れを防いでいた。新様式では、隅柱上で頭貫を十字に組み、端も柱外に延ばして木鼻として補強している。かしらまき/頭巻
頭巻釘の省略。上等雨戸の板その他貴重なものを打付けるために用いられる釘。その頭は図のように渦巻き形をなすもの。「はちまき」に同じ。かずいと/数糸
畳床を作るのに用いる糸で結束用のもの。かすがい/鎹
Clamp。両側が曲がって尖っている大釘、木や石等に打ち込み繋ぎ止める用途のために使う。かすがづくり/春日造
切妻造り、妻入りで、丹塗の本殿正面に向拝(庇)を付けた形式のもの。 正面一間の小規模なものが多く、柱は土台の上に立つ。春日大社本殿が典型だが奈良県地方に多く分布する。→ながれづくり/流れ造りかすがづくり/春日造り
切妻の前に向拝を設け、屋根には千木と勝男木を付ける造り。かすがとうろう/春日燈籠
庭園などに置く燈籠の一種。かすがとりい/春日鳥居
鳥居の一種。柱は円柱にして窄と轉があり笠木・島木及び貫には反りがない。またその各鼻は垂直に切ってある。かすがづくり/春日造
神社の造り方の一種。正面及び背面は破風造りにして棟上には千木鰹木があり。また周りの縁側には勾欄があり、向拝の屋根は本家の幅に同じ。かすみぐみ/霞組
障子組子などの組方の一つ。かすみそめづき/霞初月
正月の異名。かぜさだめ/風定め
陰暦十月十日。かぜのかみ/風神
左は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 2 に収載されています。かぜまちづき/風待月
六月のこと。かぞえぎ/斗木
「かつおぎ」におなじかそう/家相
中国から輸入したとされる家の場所や間取り配置などから吉凶を判断する方法。かそう/火相
茶室における炉の火の状態のこと。かたいし/堅石
いし。かたいきはおれる/堅い木は折れる
柳に雪折れなし。「堅い木はむづ折れ」ともいう。かたいじなにょうぼうとたけくぎは、きいたらうつな、きかなくてもうつな/ 片意地な女房と竹釘は、利いたら打つな、利かなくても打つな
頑固なる妻は打ち懲らしても其効なきこと、竹釘の強く打つのみにては、きかざるが如し。かたいた/型板
隅木等を造る場合に型を造ること。かたうし/片牛
仙台邊の訛。広小舞。かたうらのめ/片裏の目
裏目の半分。かたおきからかみ/形置唐紙
模様付の唐紙。かたおりど/片折戸
一方にのみ釣元がある折り戸をいう。かたぎおおいれ/
大入の一種で差入れる木の端が図のように斜めになるもの。かたぎほぞ/傾ぎほぞ
合掌尻等に付けする斜めなるほぞ。かたぎぼり/傾彫
斜めに彫ること。図は隅木に配付け垂木を取付けるとき傾彫になる形。かたくさび/片楔
一方より楔を打った場合をいう。かたけた/片桁
築地の須柱の上にある桁。かたころび/片轉
「はんころび」かたさばき/片捌
床柱の所にて長押の留りに図の様に別の木を嵌めて木口の見えないようにするときを片捌という。まくらさばき。かたてわざ/片手業
本業の外にする業をいう。又、不精業(ぶしょうわざ)ともいう。かたなか/片中
片中墨の略称。かたながれ/片流
屋根の棟より一方の軒までをいう。かたなのさび/刀の錆
悪人または無用の者を殺す場合に言う。かたはたご/片旅籠
宿屋に泊まって、夕食または朝食を喫せぬこと。かたなば/刀刃
土蔵その他塗り家において入口または窓の脇に取付けたる三角形の縁木にして漆喰塗りの止りとなるもの。板の縁を斜めに削ってある形にもいう。かたなば/刀刃
野地板や羽目板を張るのに、板を上図のごとく削る。この張り方を羽打張り、羽打という。屋台の屋根板はこの方法で張っています。
かたのきおとし/片軒落
「ろばん」。かたびさし/片庇
普通の庇のように片流れのものをいう。かたびさしろう/片庇廊
片流れの屋根を有する廊下をいう。かたびらき/片開
戸などの一枚開になるものをいう。かたふた/片蓋
普通の柱の半分の柱のこと。かたみぐさ/片見草
菊の異名。〜 撫子の花さきにれり、なき人の恋しき時のよき形見草。〜かためんおとし/片面落
ある物の大きさが柱幅に対してその一方の面幅を減らしたる場合にいう。かたやまと/片大和
「やまとがき」。かつ/轄
中国でコロのこと。かつおぎ/勝男木・堅魚木
神社の屋根の棟に直角に乗る丸棒。本殿の棟の上に水平に並べられた円形断面の材で、棟を固める針目を覆う「針目覆」が本来の姿と考えられている。語源については、紐などで木を固く結んだ「堅緒木」からとも「鰹節」に似ているからとも。なお、勝男木が奇数で千木(ちぎ)の切りが垂直ならば男の神様、勝男木が偶数で千木の切りが水平ならば女の神様を祀られている説もあるが、これは伊勢神宮の女神である天照大御神をまつる内宮が平削ぎで、男神の豊受大神をまつる外宮が外削ぎになっていることからきた俗説であるらしい。→ちぎ/千木かつおはさしみ、さしみはかつお/鰹は刺身、刺身は鰹
鰹は刺身がよし、刺身は鰹がよし。かつおぶしとといしはかりいれはない/鰹節と砥石は借り入れない
どちらも使用すれば容積を減ずるを以って也。かつおめんど/鰹魚面戸
一端広くして他端は狭き面戸をいう。庇面戸は漆喰塗りとなすか又は特別製の瓦となすことあり。かっしゃ/滑車
せみに同じ。がっしょう/合掌
二材を山形に組み合わせたものの總称。がっしょう/合掌
三本の木を山形に組み合わせるとき、その二本を傾斜させるもの。がっしょうぐみ/合掌組
組手の一種。二材を山形に組合わせ合缺にしたもの。がっしょうとりい/合掌鳥居
山王鳥居に同じ。がっしょうはり/合掌梁
陸天井を設ける場合に二材を山形に組んで梁のようにすることを合掌梁という。がっしょうひれ/合掌鰭
大瓶束の左右にある飾り。「笈形」ともいう。かっぱのへ/河童の屁
何の造作もないことをいう。木屑(こっぱ)の火の訛りともいう。がっほうのきも ごうまつよりしょうず/合抱の木も毫末より生ず
ひとかかえある大木も、もとは細小なる苗より生ぜしなり。 (出典のルビは「がっほう」であるが、「ごうほう」または「がっぽう」が正しい読み方) 「千里の道程も足元の一歩から」へ続く老子の言葉である。かつら/葛
壇などの上端にあって、その縁となる材のこと。かつらいし/葛石
壇などの上方にありその縁石ともなる石をいう。 /軒内、土庇内の柱の土台石、自然石で頭部の尖りに柱の根を受ける。別名は、柱石、地覆石(じふくいし)、沓石(くついし)、柱受石、根石。かつらをおる/桂を折る
試験に及第すること。〜久方の月の桂も折るばかり いえの風をも吹かせてしがな。〜かどからはふ/架燈唐破風
かとう/火燈
架燈とも瓦燈ともいう。上方が曲線系になるものをいい、火燈窓や火燈口をも略称される。「丑」の図はその一例。「丑」の図の様な火燈を櫛形ともいう。
「子」の図は直線よりなる窓で原意を逸した形なれど、上方が弓形に近い故に火燈の一種 とし隅切洞火燈と称す。洞火燈は上方の弓形もしくは半円形にして木の縁がなく壁の塗廻しになるもの。その他上方の形により蕨火燈、冨士火燈、瑟締火燈、等の名称あり。
かとうぐち/火燈口
茶室の勝手の通口が上方曲線形の場合にその通口を称す。かどのあまにもようあり/門の尼にも用あり
無用の者にも時として用がある。かどばしらをみかけてものうる/門柱を見かけて物売る
家の貧富を見て、 それぞれ相応すべき品物を売るべし。かなくぎのおれのよう/金釘の折れのよう
このホームページをいう。かなづち/金槌
槌の頭を鉄で作った打撃用の工具。木槌は鑿または楔を打つのに 使用する。鉄槌⇒金槌は釘を打つために作られたらしい。 玄能(玄翁・げんのう)は、頭(打撃面=ヘッド)に尖った部分がない 金槌をいう。玄能の打撃面のうち一面は平ら、一面は緩やかな凸状に なっている。かなづち/金槌・鐵槌・鉄槌
水を泳ぐこと能はざる者をいう。かなづちろん/金槌論
金槌にて釘を打つ如く、同一事を反復するをいう。かなつぼまなこ/金壺眼
円く怒れるが如く眼。かなつんぼ/金聾
聾の著しいもの。かなど/鐵戸
鐵製の戸。かなばかり/矩計
建築設計をするとき各階の位置や構造や床や天井や軒の高さや使用する材料を明示した詳細図。 建物各部の高さに関して比較位置を明示するために引いてある幅の狭く長い図。かなばし/鉄鉗
建築板金屋の使う道具「ツカミ」に似た形状で、鍛冶屋が熱して焼けた鉄材などを保持するときに使う道具。かなめ/要
扇垂木の中心点。かなめいし/要石
庭の飛石の一列のなかで役石ほどでもないが他の石よりもやや大きくやや高く打たれている。 要石の上に立って庭を眺めると都合が良い位置に打つ。かなもの/金物
寄せボルト(メッキ)は、駒寄せを固定する金物です。綱通しボルト(メッキ)は、環の中に引き綱を通します。
車軸は、車輪の中心に通る芯棒のこと。
座金と鉄板は、車輪が土台に接触して摩耗するのを防ぐための金物です。
落とし棒は、車軸が抜け落ちるのを防ぐための金物です。
腰固めボルト(頭部分はメッキ)は、腰を固定するための金物。
かにめくぎ/蟹目釘
半球形の頭を有する小釘。戸の板などを打つのに用いられる。かにめん/蟹面
稜に飛び出ている丸面。その断面図は図の様に半円以上のものとする。かにめんど/蟹面戸
棟の瓦と丸瓦及び平瓦との間に生ずる部分をいう。かね/矩
指金のこと。かねおり/矩折
矩の手直角のこと。全て直角になれる形のこと。かねおりめちがい/矩折目違
直角に曲がっている目違い。かねくちのぬき/鐘口の貫
鐘樓の腰貫をいう。地覆と飛び貫との間にある貫にして鐘下端と同じ水平位にある。かねぐろ/矩黒
煉瓦の長手及び小面の二面黒色の煉瓦。かなぐろともいう。かねこうばい/矩勾配
45度勾配のこと。頂上部で直角となる屋根の勾配のこと。かねつりばり/鐘釣梁
鐘樓において釣鐘を吊る梁をいう。かねとしらみはわきもの/金と虱は沸きもの
どちらも、いつとなく産出するものなり。かねにする/矩にする
規矩準縄にあてはめて正すことをいう。かねにほれてもおとこにほれるな/金に惚れても男に惚れるな
花柳社会の諺。かねのなるき/金のなる木
金銭を生出すべき能力あるものをいう。かねわり/曲割
茶室の飾りつけの言葉でモデュールのこと。かのこうち/鹿子打
木材を釿にて處まだらに斫つることをいう。 丸太の表面仕上げの手法のひとつで、ナグリを所々まだらに行ったもの。かのこずり/鹿子摺
壁の凹處を目当てに處まだらに漆喰を塗つけることをいう。かのこまだら/鹿の子斑
鹿の毛の白き斑点をいう。〜時しらぬ山はふじのねいつとか、かのこまだらに雪ふるらん。〜かのなみだ/蚊の涙
至少の喩。かぶき/冠木
「衡木」とも書く。門の扉上にあって柱を連ねるせい高き横木。冠木は柱を貫き鼻栓にて飼固める。かぶきもん/冠木門
二本の柱上に冠木を有する門をいう。 /日本古来の木造門の形式。両側の柱をほぞ差しの横木(冠木)で連絡、両端は柱の外にやや長く突出、多くは黒塗り。 「一名まぐさ(木へんに眉)門」ともいう。かぶとあり/兜蟻
梁の端を蟻にすること。かぶとげた/兜桁
土蔵入口の實柱上にあるまぐさをいう。漆喰塗りした後は平壁より突き出す。茅葺屋根において隅木に架けてある桁
かぶもん/兜門
門形式のひとつ。その形が兜を連想することから。(大徳寺龍光院など) /京都今日庵表門の名称。かぶらづか/蕪束
俗に「かぼちゃ束」ともいう。隅合掌の集まる所にある眞束。かぶらげぎょ/蕪懸魚
図のような懸魚。かぶらかじりやろう/蕪齧り野郎
罵語。かぶらからなたねまで/蕪から菜種まで
何から何まで残るところなくとの意。一から十まで。かべ/壁
Wall。家屋の周囲および各室を区切る仕切り。家屋周囲の壁を外壁、室内を区分するものを間仕切壁。 共同住宅において隣家と分界となるものを隔壁。中身が空洞の壁を二重壁。その他、大壁、小壁、蟻壁、平壁、めくら壁、後壁などある。かへい/花瓶
Flower Vase。花草木を挿して室内を装飾するために用いる器。「かびん」のこと。かべがみ/壁紙
壁貼の紙。かべしたじ/壁下地
塗壁の骨。塗り込み貫、間渡竹及び小舞よりなる。かべちゅうもん/壁中門
古語。塀重門と同じ。かべちりじゃくり/壁散决
柱等の木部と塗り壁との接際に間隙の生ずるのを防ぐため壁が入り込む様に木部に小溝を設けることを壁散决という。かべどこ/壁床
床に見立てた壁面の廻し縁に掛物釘を打っただけの最も簡略な床の形式。かべにみみ、とっくりにくち/壁に耳、徳利に口
通俗でないものとしては、 「壁に耳、石に口」、「壁に耳、垣に目」、「壁に耳、岩の物言う世の中」、「壁に耳、天に口」、 「壁の物いう世」など。かべのつくろいは つちでなければできぬ/壁の繕いは土でなれけば出来ぬ
商業にて損失を招きしものは、同じく商業ならでは回復し難しという喩の類。 「壁の穴は壁で塞げ」も同じ。かべのなかよりいでししょ/壁の中より出でし書
古文孝経を指す。かべわく/壁枠
壁貼下地の枠。かべわたどの/壁渡殿
古語。左右を塗り壁にした渡廊下。かほうはねてまて/果報は寝て待て
因果応報は天意にして、人の力之を左右する能はず、只静に其到来を待つべしと也。かぼく/下木
林業用語で、二段林の下層冠、上木(じょうぼく)に対するもの。 上木(主林木のこと)の育成を助けるため、林地表面への射光、通風を防いで植栽するか、 自然生のものを保護する。潅木を常として、植栽、自然生を問わず、常緑と落葉樹も 問わず、林緑部を重視する。造園上の用語としては【したぎ/下木】と称し、【うわぎ/上木】に相対する。
かぼちゃづか/南瓜束
合掌造りの隅合掌が集まるところの真束で蕪束(かぶらづか)ともいう。かぼちゃのあたりどし/南瓜の富り年
よからぬものの、勢を得て繁盛する時節なりとの喩に用いる。かぼちゃやろう/南瓜野郎
人を罵る語。かまがね/釜金
回転する車軸が接触する軸受けの部分をいいます。カマは円筒状または円柱状の鉄材を、車軸の直径に適合するブッシュの直径で内径を削り出し、外径をテーパーに削り出して、車輪の中心部に開けた穴に打ち込んで固定します。カマガネのつばになった部分に取り付けられたボルトやビスが緩んでカマガネの木部取り付け部にガタが生じることがあります。かまきり/蟷螂
page256 引用 〜 我が国に於いて昆虫が建築及び工芸品に応用せられたのは、いつ頃かを考えてみると、どうも 奈良時代工期−−−例の銀製「蝉」型の錠からの様に思われる。蝉・蝶・蜻蛉等は昔からあるが、蟷螂に至っては 私の狭い見聞によると、室町時代と認められるのが最古で、以降江戸時代に及んでいる。左に試しにその時代と 応用の場所を記してみると、
室町時代 郷社多治速比売神社本殿向拝手挟(大阪府泉北群久世村大字和田)
桃山時代 二条城二の丸御殿欄間、二種(京都市)
江戸時代 官幣大社石清水八幡宮透欄間(京都市慶喜群八幡町)
江戸時代 別格官幣社東照宮透塀(静岡県静岡市根古屋)
(天沼俊一著 成虫樓随筆 国立国会図書館デジタルコレクション)
點=点
二条城二の丸御殿欄間 「鶏頭に蟷螂」「牡丹に蟷螂」 拝み蟷螂の姿勢を取る
かまくらけんちく/鎌倉建築
源氏北条氏および南北朝の初期に於ける変化の時代の建築。かまくらぼり/鎌倉彫り
頼朝時代において想像製造された塗物にして素地面に粗豪雄健なる彫刻をしたもの。かまけびき/鎌罫引
建具職人が溝内などに罫筋を施すときなどに必要な道具。その竿は鉄製にして爪はその端にあること甲の図の如し。 普通の罫引においては竿は木製にして爪はそのはしより退くこと乙の図の如し。がませんにん/蝦蟆仙人
上は小池佐太郎の毛筆画習作。構図や背景が異なりますが、 手本にしたのは右の絵であると思います。
国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 4 に収載されています。
かまち/框
上下の桟のこと。かまどいし/竈石
相州幕山より産出する紫黒貼のある石にて、竈を築くのに用いられる石材中最火につよいもの。かまどのかみはめがみ/竈の神は女神
〜 世俗の諺に竈の神は女神といふこしのあるは、漢籍にもしかいへるとのあるより出でたるか、又は古へ よりま伝へか 〜 〔古事記伝〕/ 他に「竈の神は荒神」あり。かまどよりさきににょうぼう/竈より先に女房
一家を立てる資力なくして妻を迎えることをいう。かまち/框
戸障子などの周囲の木。出合框、掛引框、縦框、上框、下框、重框など。床などの留りを隠すための化粧横木をもいう。床框、中棚框、踊場框、縁框、舞台框、店框、前框、上り框など。
かまのまえまさんすけ/釜の前の三助
別に意義なし。釜は窰の義。かまのみ/鎌鑿
建具職人の用いる鑿にて端が曲がって刃はその端に斜めに付く。かみありづき/神有月
俗に出雲にて十月の事を神有月といふといへり。かみおくり/カミオクリ
屋台の引綱を大土台に結ぶ方法の名称です。以前に屋台を製作させていただいた自治会の屋台に詳しい方にお願いして、製作中の山車の轅にトラック用のロープを使って実演していただきました。後側の土台も同じ結び方でOKですが、解けないようにひと結び加えてください。 この結び方は屋台に用いるとき以外は、「クローブ・ヒッチ」「巻き結び」と呼ばれており、ロープに引っ張る力が加えられているときは緩まないという特徴があります。 その方のお話では、カミオクリは「神送り」ではないとのこと。かみかまち/上框
扉などの上部の横木をいう。かみきづき/神帰月
十一月の異名。かみすさ/紙すさ
「紙つた」ともいう。かみそりかなもの/剃刀金物
横断面L形なる金物。かみせんねん きぬごひゃくねん/紙千年絹五百年
〜 紙にかきたる書画は千年を保つべく、絹にかきしものは五百年を保つべしといふ。〜かみだな/神棚
神を祭る神座は神社をかたどり、伊勢神宮の神明型と、片屋根型、 箱宮型の三種類、あるいはその組合せがあるそうです。神棚は神域と なるので、静かで清浄な場所、少なくとも目の高さ以上で手の届く範囲 内に設けるべきだといいます。棚の向きは南か東向き、神棚中央が 最上位となり伊勢神宮の護符を祭り、向って右に氏神、左に自分たちの 信じる神の護符を祭るのだそうです。かみとほとけはすいはのへだて/神と佛は水波の隔て
「神佛は水波の隔て」に同じ。 神佛同體本地垂跡の説より起こりし諺にして、神と佛し只水と波との如く、 形を異にして其実一物なりとの意。かみなげし/上長押
塀等の上にある長押。かみなりじる/雷汁
河豚汁のこと。中(あた)れば死ぬという謎。かみなりのさいたきは かみなりよけになる/雷の裂いた木は雷除けになる
俗説。「雷除けに赤もろこし」 「雷が臍を取る」かみなりばば/雷婆
口やかましき老婦人。かみのきで あるじがある/神の木で主がある
女子の既に定まりたる夫あるをいう。かみのほこらもはしだてのままに/神の神庫も梯のままに
いかなる難しき事なりとも、便を求めなば、遂には成し遂ぐべしとの意。かみわたし/神渡し
十月西風吹くを神わたしという。かめ/亀
(彫刻)古代中国では古くから神聖視された動物。甲羅を焼いてできた裂け目の形で吉凶を 占う亀卜が行われ、これにまつわる記号を元に漢字が生まれたという。四神の一つ「弦武」は亀または亀と蛇が合体した姿で表され、北方に配される。 彫刻の組み合わせは波や鶴。尻尾には箕状のふさふさした長い毛(甲羅にアオミドロなどの緑藻が着生したもの)がつき、これが長寿の象徴とされた。 / 〜 亀齢経萬歳。〔廣五行記補〕〜かめのお/亀の尾
折上格天井の折上げの部分の中所々にある彎曲形の木。亀の尾は格縁の続きにあるものとする。またその間にある細き木を「じゃほこ/蛇骨子」と称す。かめのこあて/亀甲当
挽臼状の石に縄を巻きつけて三四人の人足にて揚下ろして地固める。かめのこながし/亀の甲流
井戸脇などにある片流れの流れをいう。その縁にある細い木を「水返」という。かめのしょうべん/亀の小便
少しづつ出すという謎。かめばら/亀腹
「饅頭形」ともいう。建物の最下方にある四分円形類似なるもの。また鳥居柱下にあり伏図は円形にして姿図は四分円形類似の根包みをを亀腹という。すなわち亀腹は四分円形類似のものにて建造物の下部にある物をいう。かもい/鴨居
引違い戸の上部にある溝を掘った横木。かもいつり/鴨居釣
鴨居を釣らしめるための織物なり。鴨居上端にあいている穴に嵌め内法貫に掛けて釣る。かもめじり/鴎尻
尻の上がりたるをいう。かやぶき/茅葺
茅、薄、ヨシ、麦わら、麻殻などで葺いた屋根の総称。かやおい/茅負
軒口の垂木上端に取り付ける横木。二軒において地垂木、飛檐垂木の鼻先に連結している横木を木負(きおい)、茅負という。木負には飛檐垂木が取りつくので、足駄欠(あしだがき)という切り欠きを作る。また、茅負の上には裏甲という化粧板を置く。→(うらごう/裏甲)かやぶきやね/茅葺屋根
茅で葺いた屋根。かやもん/茅門
庭口又は数奇屋の露地入口の門にして柱及び冠木は釿なぐりとなし桁には丸太を用い屋根は茅葺となすことはその造り方の一例なり。 /中くぐりの別名。多くは茅だが茅とは限らない。入口五尺、高さ八尺、かぶき下五尺五寸、そのあと二ツに割り、真中にはり貫を通す、棟下両鼻 一尺四寸、勾配五歩か四歩、但し薄屋根(石組園生八重垣伝)さらに『松屋日記』など多くの書に決まりごとがある。かゆのおやかた/粥の親方
柔き飯をいう。「粥の伯母さん」に同じ。かゆばしら/粥柱
正月七日、十五日の、餅を入れたる粥をいう。かよいぐち/通口
茶室において勝手へ入る口をいう。もしくはその造りが洞火燈ならば「火燈口」という。また方立の上に角柄鴨居がある場合には「方立口」という。からいしき/唐居敷
薬医門などにおいて伏図は矩形をなし、敷石面より突起した石にて門柱を受けかつ扉の軸も支えるもの。からこ/唐童児
左は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 1 に収載されています。からじり/空尻
軽尻ともいう。騾馬に半量の荷を負わせたるをいう。からす/烏
〜 何鳥というは、其事に馴れ、其地に馴れたるものをいう。旅烏、藝烏、阿波座烏などいう類がこれなり。//物忘れの早い人のこと。からかみ/唐紙
「からかみしょうじ」からかみしょうじ/唐紙障子
ふすまに同じ。障子なる語は元は襖、衝立、等の総称。からかさいっぽん/傘一本
僧の寺院を追放させられるをいう。からき/唐木
紫壇、烏木、鐵刀木、華櫚木、白壇などをいう。呂宋、安南、暹羅、瓜哇、錫蘭等より産す。からくさ/唐草
蔓草よりなる模様。からくさかわら/唐草瓦
唐草模様のある軒先瓦。からくりびょう/からくり鋲
かしめ鋲に同じ。からくる
金属板を鋲などに接合するとことをいう。からくり鋲はそれに用いる鋲。「かしめつける」ともいう。からたけ/唐竹
矢来、竹垣、等に用いる唐竹と称するものは眞竹。からつみ/空積
石、煉瓦、等をモルタル無しで畳積みにすること。からと/唐戸
框、桟及び入子板などによりなる戸。からとめん/唐戸面
唐戸の框等に用いられる面。丸面ともいう。からにもない/唐にもない
世に稀有なる事物にいう。からよう/唐様
禅宗様のこと。→禅宗様参照からくさ/唐草
つる草からなる模様のこと。軒瓦を唐草瓦という。からじし/唐獅子
(彫刻)ライオンがモデル。龍と双璧をなす彫刻の主題。室町末期頃から社寺建築の 柱貫や虹梁の木鼻、蟇股などに見られるようになる。特徴は四足、掌は猫型、胸毛や 体毛はカールしている。体表に風車状の旋毛がある。唐獅子と牡丹の組み合わせは 中国で発生した吉祥の図柄。→象 仏画の図様としての唐獅子は文殊菩薩(もんじゅぼさつ)が乗る動物。からもん/唐門
唐破風を用いた門の総称。唐破風が正面または前後を向く向唐門と、側面とする平唐門がある。からはふ/唐破風
陣笠のように反曲した凸凹線(起りと反り)を持つ破風のことをいいます。 現存している唐破風らしきものとしては法隆寺聖霊院厨子(1283)が最も古く、絵巻では平安時代の『紫式部日記絵巻』の屋形舟の屋根に見ることができます。古い時代には緩やかだった反転曲線勾配は近時代に入ると豪快なうねりとともに最盛期を迎えます。日本に滞在したドイツ人の建築家ブルーノ・タウトがシナ建築的なものを否定したことが(『日本の美の再発見』)、当時の知識階級に影響を与え、加えて戦時下という背景事情が唐破風の持つ柔らかげな表情が軍国主義にふさわしくないされ、唐破風的なものはイカモノ、通俗的なものとして排除される傾向が生まれたそうです。 そもそも唐破風の「唐」とは、唐がまだ新しいものの詞であった頃に付けられた名称に過ぎず、日本の気候条件や良質な木材があったればこそ。屋根葺材に用いられる自由な曲面を成型可能な桧皮や薄板に恵まれていなければ、唐破風に屋根を付けた際の、妻側に段差が生じて屋根と破風の間隙を塞ぐための箕甲と呼ばれる変則的な曲面が形成できたかどうか。ともあれ唐破風は日本民族に起源を持つ数少ない形のひとつであると考えられているそうです。唐破風には「招き入れる」や「結び付ける」などの意味が付与され、あるいは託されていると考えられています。誤った記述をしていましたので訂正します。 菖蒲桁は二重屋根屋台に見られる同様の位置にある短い化粧の桁のことです。 「屋台本体名称図」や ここをご覧ください。 建築物や一層の屋台の場合は「軒桁」とか「丸桁」(がぎょう・がんぎょう) といいます。
唐破風製作中
ガラス/硝子
ガラスを意味する語としては 瑠璃(るり・水晶のこと)と玻璃(はり・水晶のこと)は仁徳天皇頃から徳川初期まで、 ビードロ(ポルトガル語)は天文から明治のはじめまで、 ギヤマン(オランダ語・高級なビードロ)は徳川中期から明治のはじめまで、 がある。からすかしら/烏頭
山王鳥居などの破風上にある短い笠木をいう。その鼻に反り増しあり。からすがみ/烏紙
畳の縁下に用いる黒い紙。がらすざん/硝子桟
明障子の途中においてその幅一杯を硝子張となすことがあり、その上下にある桟を硝子桟という。からすとび/烏飛
井桁を設け天水桶を入れ火敲きを添え置くものとする。「烏踊」ともいう。がらすわく/硝子枠
明障子の一部で硝子を用いることがある。その周りの枠を硝子枠という。からまつ/落葉松
「富士松」とも称する。その材は微赤にして木理疎直。 東京では「赤松」とも称す。からまぜ/空混
モルタル又はコンクリートを製する場合にセメント等を初めに水無しで混合すること。からもん/唐門
唐破風付の門をいう。正面唐破風造りを向唐門といい。両妻に同破風があるものを平唐門という。からやくいもん/唐薬醫門
「四脚風薬醫門」ともいう。本柱控え柱共各二本宛にして薬醫門に類する。唯男梁上に枡組を有し且つ妻の破風には虹梁などありて一體に手込めり。からよつあしもん/唐四脚門
屋根の前後に軒唐破風があり両妻は切妻破風造り。四方破風造りの四脚門。がらり
羽板をとりつけたものをいう。がらりと/がらり戸
がらり付の戸をいう。また略して「がらり」ともいう。がらりつぼ/がらり壺
土蔵入口の柱に取付けてある長い壺金にして動かせれるようになっているもの。からん
給水管における水出口の口金。捻って水を出すところ。がらん/伽藍
梵語サンガラーマの音写で、僧が集住する精舎のこと。完備した寺を七堂伽藍という。かりぐみさぎょう/仮組作業
上部が円形の柱を持つ屋台です。二輪屋台の仮組み中です
かりがこい/仮囲
建築場などの周りに設けた囲いで永久的ではないもの。かりこ/仮子
「さるこ」ともいう。墨糸の一端に結び付けてある短い錐をいう。かりほぞ/仮ほぞ
雇ほぞに同じ。かりょうひんが てんにん/迦陵頻伽 天人
上は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 5 に収載されています。
かりわく/仮枠
迫持ちの仮受の枠。即ち迫持ちを積むとき一時それを支えるために取付ける仮設物。かりん/華櫚
唐木の一つにして紅色を帯びる。「からき」かるいし/軽石
抗火石。(岩石学上で抗火石(こうかせき)は浮石という pumice,pumice stone 別名 岡化石、水孔石)かるこ/輕籠
古語。「もっこ」に同じ。かれいけ/枯池
初めから水を入れず、水なくして水があるように見せる池。白砂を敷くこともある。かれいけ/涸池
水が干上がってしまった池のこと。かれいけにつつみはきれぬ/涸池に堤は切れぬ
火のないところに煙は立たぬの類。かれきにあぶら/枯木に油
ますます燃え易からしむ。かれきにはなさく/枯木に花咲く
稀有の喩。かれさんすい・からせんすい・からせんずい・かれせんすい・こせんすい/枯山水・乾山水
小豆〜納豆程度の大きさの白砂利を敷いた枯池を配した日本特有の庭園様式のひとつ。かろとうせん/夏炉冬扇
無益の才藝に喩う。かわあしかため/側脚固
柱の内面に取付ける脚固め。かわいし/側石
根石に同じ。かわいし/河石
河床から産する石の総称。石質は関係ない。かわしまおりもの/川島織物
祭礼幕特別特約店証明書かわたまぐさ/川玉草
竹の異名。かわづいし/川津石
豆州川津河岸が産地の青石。本川津石は凝灰岩。新川津石は凝灰質砂岩。かわどだい/側土台
外側壁の下の土台をいう。かわばしら/側柱
外側壁の柱。間仕切りの柱と区別するための語。かわらいたべい/瓦板塀
腰は竪瓦梁にして上部は板張りの塀。かわらがきろう/瓦垣廊
瓦塀造りの回廊をいう。廊の一方が瓦塀で他方は柱建てで明放し。かわらくぎ/瓦釘
瓦の滑り落ちるのを防ぐために打つ釘。かわらこじき/河原乞食
芝居の役者。かわらこぞう/河原小僧
河童。かわらもの/河原者
歌舞伎の者共を卑しめていう。河原にて始めたる業なればなり。 〜よせ太鼓日はてれつくと打ちいづる波の音まで河原ものかな。〜かわらざ/瓦座
軒の敷平瓦を受けたる木をいう。かわらざん/瓦桟
軒瓦を受ける広小舞の上に打つ桟のこと。かわらじり/瓦尻
屋根に葺いた瓦の上の縁をいう。かわらべい/瓦塀
竪瓦張りの塀をいう。瓦の目地に塗れる凸の漆喰塗りを海鼠漆喰という。かわらぼう/瓦棒
屋根下地の上へ垂木大の木を縦に打って葺くトタン屋根の一種。かわらぼうじっくい/瓦棒漆喰
まつかわぶき。かわらぶき/瓦葺
忌みことばで寺院のことを指した。寺院建築には瓦葺が多いことから。かわや/厠
農家が肥料を蓄える場所として母屋から離して、川のほとりに建てられた川屋、トイレのこと。 厠の神は家族の健康を守るだけでなく、産神も兼ね、妊婦が心を込めて厠の掃除をすると 美しい子が生まれると言われた。子供が生まれると厠の神に「せっちん参り」をした。かん/観
うてな、たかどの、台上に屋を構えて眺望のための建築物。 台観、観閣、観楼、水観など。かんぎやすり/雁木鑢
鑢を雁木型\/\/に使う意にて、往復共に利する所あるに喩う。かんとうべい/関東べい
関東にて、行くべい、などという方言があるをいう。「べい」は「べし」の意也。かんのんどう/観音堂
十一面観音、如意輪観音、馬頭観音なのど観世音菩薩を本尊とする堂。かんじょうどう/潅頂堂
密教の重要な儀式潅頂に用いる堂。潅頂院ともいう。東寺の潅頂院は空海の遺命によって創建されたもの。がぎょう/丸桁
軒桁のこと。がんくび/雁首
煙管の雁首の如き形の土管を「雁首土管」あるいは「雁首」という。また「呼土管」ともしょうす。がんぎ/雁木
ジグザグ形を表す文字。静岡、会津、大分、熊本の方言で石段のこと。がんぎいし/がんぎ石
長野県木曾郡、富山県、岐阜県恵那郡の方言で御影石のこと。がんぎがね/雁木矩
配付垂木の墨を付けるときの立ち上がりの墨。松葉矩かんきとう/換気塔
室内の汚気等を排出するために屋上に設置した塔をいう。がんぎだな/雁木棚
図の様に段形に棚板を取付けたもの。かんこう/鐶甲
門の柱又は扉などに打ってある大きな丸い金物。俗に饅頭金物と称す。がんじつのあさはしつないをはかぬもの/元日の朝は室内を掃かぬもの
俗説。がんじつのおひさまはおおきい/元日のお日様は大きい
俗説。かんしつぞう/乾漆造
阿修羅像参照かんすいせき/寒水石
大理石に同じ。がんすい/眼水
涙。盗賊語。かんたん/邯鄲
枕をいう。盗賊語。又宿屋に同宿して、人の物盗むを邯鄲、又し邯鄲返しという。 / 関連 → 「邯鄲に歩を学ぶ」、「邯鄲の枕」、「邯鄲の夢」かんな/鉋
木材の表面を平滑に削る工具のこと。 槍形の彫刻刀である「やりかんな」は奈良時代から使われていた。 室町時代末〜桃山時代はじめ、朝鮮から台木に刃が取り付けられた台鉋が輸入されたと いわれる。江戸時代には、荒しこ鉋、丸鉋、出丸鉋、反台鉋、溝鉋、脇鉋、 ひぶくら鉋、台直鉋などが開発された。かんなとやたい/鉋と屋台
鉋は木材の表面を平滑にして艶を出す道具です。 屋台は柱や梁や土台にも鉋がかけられています。 なぜそうするかというと、木地の露出された状態を最終の仕上としているからです。 木材は虫に喰われることもあるし、時間が経てば劣化します。 しかし、鉋によって透明な化粧がされた白木の屋台なら、たとえ痛んでも、その箇所が目に見えます。 少しずつ手直して、少しずつ取り替えることで、長持ちさせられるわけです。 そのためには、解体が必要となります。修理のために痛んでいない部材を切断しなければならないのは本末転倒です。 だから、解体がしやすい接合方法を用いた構成材の組み合せを採用しなければなりません。 日本の古建築の多くは、傾いたら起こす、壊れたら直すという、シンプルな再生の過程を経て現存しています。 接合部の構法に可逆性があるからこそ、できることだと思います。(2015.02.26)かんにんだいみょうじん/堪忍大明神
〜 腹のたつ時は、堪忍大明神を念ずるべし。〜かんぬき/閂
扉を閉めるための横木。かんぬきかすがい/閂鎹
「閂持鉄物」ともいう。閂を支え受けるために扉に取付けた箱物金物。その端を隠すために扉の表には饅頭金物を装置する。かんぬきずり/閂摺
閂持桟の別名。かんぬきずりたてざん/閂摺竪桟
閂鎹を支承する竪桟をいう。すなわち閂持竪桟に同じ。かんぬきもちかなもの/閂持鉄物
「閂鎹」に同じ。かんぬきもちざん/閂持桟
閂鎹を取付けたる桟。鎹が竪桟に取り付ける場合を閂持竪桟。または閂摺竪桟。という。かんのん/観音
観世音菩薩の略。がんぶりがわら/雁振瓦
冠瓦の訛。棟の最上部にある瓦をいう。かんばつ/間伐
林木の健全なる発育を促して森林の価値を高め、森林からなるべく早く利益を 得ることを目的として樹木を間引くこと。樹木の生長には、固体差があることから生存競争が生じるが、 多数の林木の生長の妨げになる一二の弱すぎる樹木、あるいは強すぎる樹木を を除去する。
間伐は普通12〜20年生から始め、数週間これを行う。 作業は極めて熟練を要し、拙なる間伐は林木の生育を害する。