すあな/素穴
「にげあな」を見よ。すい/翠
青い羽の雀のこと。青い羽の雀の如く純粋な羽の生色のこと。米の純なるもののこと。緑と同等ではない。すいえん/水煙
塔の九輪の上方に付しある飾り。すいがい/透垣
「すきがき」の音便なり。竹又は枝にて作りたる垣にして間透き居り見通し得るもの。すいかせきかい/水化石灰
「ふけばい」ともいう。すいがみをくう/粋が身を食う
風流のために身を滅ぼすをいう。すいこうせきはい/水硬石灰
水中にて固まる性質を有する石灰をいう。ずいじんもん/随身門
神社の中門なり左右に随身の像を置きある。すいつき/吸付
吸付蟻又は吸付桟の略称。すいつきあり/吸付蟻
吸付残に同じ。すいつきざん/吸付桟
板の反りを防ぐために用いる桟。すいせき/水石
禅文化を背景とした愛石趣味で、愛石家が自ら渓流に入って小型の石を探すところに醍醐味があるという。 これを磨いたり少しの加工を施し、この小塊の石に自然の大を託したものとして、座右において楽しむ。 盆石とは区別したほうがよい。すいせいむし/酔生夢死
うかうかとして一生を送ること。すいばんしゃ/水盤舎
「みずやかた」に同じ。すいへいき/水平器
水平を求めるために用いる器具をいう。すいまがき/瑞籬
「みづがき」に同じ。すいもん/水門
社寺の中門と堂社との間にある門なり。本柱また控柱各二本宛ありて妻に唐破風を有し左右に玉垣あり。すいもん/水門
樋の口。すいもん/水門
池尻の栓。蹲等の役石に囲まれた凹部。水門石。すいろう/水廊
吹抜の廊下をいう。すえくち/末口
丸太などの細き方なる端をいう。 地方によって寸法は異なるが、丸太の元口から何尺上がった周囲の長さのこと。すえはふ/据破風
千鳥破風に同じ。すおおい/須覆
千鳥破風前包み上の雨押様の木をいう。巣覆とも書く。又これを雨蓋ともいう。「まえづつみ」を見よ。すかしぼり/透彫
表より裏まで彫通したる彫刻。すかしもん/透門
貫など離して打ち外から見える様に造るもの。すがたず/姿図
正確な鳥瞰図ではなく、見取り図に基づいた外形図のこと。写生図の一種。すがるはふ/縋破風
本屋の茅負から下屋の破風を継ぎ合わせる破風をいう。すがるこうはい/縋向拝
縋破風を有する向拝をいう。スギ/杉
国産の代表的樹種で天然杉は秋田地方や屋久島で産出され残りのほとんどは人工林。 辺材と心材の色の差がはっきりしており黒い心材のものはクロジン と呼ばれるが特に珍重されているわけではない。心材の乾燥性の悪さなどから 並材はヒノキに比べ安価である。スギはヒノキよりも軽く強度に劣る材質とされるが、 実際の強度はヒノキに勝るスギもありえる。すきうちもん/透打門
仮板囲などに設ける門にて扉には貫を一寸程つつ透かしてうちあるものなり。その貫は筋違いなるあり又は横なるものあり。すきがき/透垣
「すいがい」を見よ。すぎしょうじ/杉障子
杉戸に同じ。すぎたるはおよばざるがごとし/過たるは及ばざるが如し
論語から出た語。すぎど/杉戸
杉の鏡板を用いて作りたる戸にして花鳥などを書きたるものあり。すぎのはこ/杉の箱
二軒や彫刻などを保管収納します。すき/数寄
1532年に発明、1597年から用いられた。「好き」になること。 茶の湯に凝ると色々なものを集めることから。 『奇は陽、偶と対す、奇は相対せぬもの、半パもの、欠けもの、 侘茶はいつも物足りぬ不備の状態、有り合わせ、奇をよしとする』すきや/数寄屋
数寄屋も透屋も須貴屋も当て字。 茶室のこと。古くは「囲い」「茶湯座敷」「小座敷」などと。すきやづくり/数寄屋造り
茶室建築の手法を取り入れた住宅=数寄屋風建築。すきやのにわ/数寄屋の庭
露地。すきやふうのにわ/数寄屋風の庭
茶庭には茶室を伴なうもの、茶室のない茶庭といったもの。露地庭の一種。すきろう/透廊
「すいろう」に同じ。すきわたどの/透渡殿
「すいろう」に同じ。すくいのみ/掬鑿
彫刻師用の鑿にして若葉などの裏面を掬い取ることなどに用いるものとする。すぐすみ/直墨
引渡墨に同じ。すぐのじ/直野地
平面なる野地をいう。蓑甲の部分は反りある故にその野地は直野地にあらず。すけばしら/助柱
控柱に同じ。すさ
「つた」を見よ。すさかけ/すさ掛
すさ掛刻の略称。すさかけきざみ/すさ掛刻
「つたかけきざみ」を見よ。すさのおのみこと あまてらすおおおみかみ と もんどうのず/須佐之男命 天照大神 問答ノ図
左は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 2 に収載されています。すさのおのみこと やまたのおろちたいじ/須佐之男命 八俣於呂智退治
左は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 2 に収載されています。ずし/厨子
衣服等を入れ置くための戸棚。仏像を安置するための入れ物をもいう。法隆寺の玉蟲厨子など。
すじかい/筋違
斜めに打ち付ける木をいう。すじかいぬき/筋違貫
木造において斜めに長く取付ける貫にして柱を防ぐものなり。すじかいこうし/筋違格子
格子こを斜めに取付けて作りたる格子をいう。すじがいこうしたまがき/筋違格子玉垣
筋違い格子の付しある玉垣をいう。すじかいざん/筋違桟
戸の斜めなる桟をいう。筋違桟が二つに交叉する場合にはこれを襷桟という。すじけびき/筋罫引
切断しようとする木材面に線をしるすためのもの。すじべい/筋塀
「ついじ」に同じ。すじべいついじ/筋塀築地
御所などにある築地にして定規筋と称する横筋を有する築地をいう。すすぐれづき/涼暮月
六月の異名。すすりのちりをふけばえきびょうにかかる/硯の塵を吹けば疫病に罹る
俗説。思うこと叶わずなどともいいて、忌むなり。すずめおどり/雀踊り
左は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 1 に収載されています。すずめくち/雀口
軒先瓦の下の所をいう。すずめのうえのたか、ねこのしたのねずみ/雀の上の鷹、猫の下の鼠
下に向かいて強く、上に向かいて弱きに喩う。すずめどき/雀色時
黄昏をいう。[膝栗毛]すそば/裾場
厩の馬の四足を洗う場所又は雪隠脇手洗所の簀付のものをいう。すそわけ/裾分け
貰い物の余りを人に分配すること。すだけ/簾竹
茅葺屋根の茅を取付けるために渡したる三寸周程の竹をいう。すだれ/簾
茶室の窓に外側から掛けて、初座の室内をやや暗くして客を落ち着かせるために使う。 後座入りのときは外して室内を明るくする。すだれさま/簾狭間
簾付きの格狭間をいう。すだれしょうじ/簾障子
簾張の障子をいう。すて/捨
捨土台の略称。すていし/捨石
江戸末期にできた言葉で、使いの残りの石を捨てることではなく、 景石としては無価値であるが、どこか庭の急所となるところへ 何気なく無造作に捨てたように置くあまり小型ではない(例:「捨石土より二寸五分」)一つの石。すていわ/捨岩
景石として使用される。捨石と同じ意味ではない。すてと/捨斗
【組物】 巻斗の一種で、隅の斗組において肘木上に斗が四つのる場合の外側の斗。→肘木 // 巻斗と同じ形であるが荷重を受けないものすてどだい/捨土台
地の中に埋め込む土台で杭の上に渡す。 門柱、柱体、ペルゴラ等の太い柱を地中に埋め込む場合に、その動揺を防ぐために 地下に入る木材の部分に横木として固定する部材のこと。すてばしら/捨柱
主要構造物の外の柱。土庇の柱。庇柱が地まで達していることをいう。すてばち/捨鉢
自暴自棄の意。すてびさし/捨庇
捨柱付きの庇をいう。土庇ともいう。すてまゆ/捨眉
虹梁の最下の眉を缺捨てる部分。すてるこものきのした/棄てる子も軒の下
子を思う親の情愛の切なるをいう。すてわく/捨枠
井戸の化粧側を受けるため地中に埋込みたる枠(地下に隠れた井戸の枠)。 化粧枠は地表の部分。すど/簀戸
竹製の戸。図を見よ。土蔵の網戸をいう。 露地の出入口、主として木戸に使う仕切戸で、割竹や細竹を粗く編んで透いて作る。四つ目垣状もある。ストーブ
置暖炉をいう。すどもん/簀門
竹製の戸を附したる門。又略して「すど」ともいう。すな/砂
細微なる石をいう。すなせっちん/砂雪隠
数奇屋において内路地に設けある飾りの雪隠をいう。(後に非実用の添景用となった)すなずり/砂摺
土蔵などの如き塗壁中の層にして砂を専ら用いたるものをいう。すなかけ/砂かけ
【えずえ/触杖】茶会用として茶室に立つ砂雪隠内の盛砂の上に立てておく板片のこと。 砂雪隠を使用する場合に使用する。「砂すくい」ともいう。すなわ/素縄
普通の藁縄をいう。すぬき/簀貫
土蔵の壁下地の貫。すのこ/簀
「すのこ」は素と竹を編みたるものをいへど、転じて他の意にも用いることになれり。竹を列べて作りたる床をもいう。
それより転じて板を目透かしにして並べて作りたる床をもいう。
すのこいた/簀板
簀縁又は簀蓋などに用いてある板をいう。すのこえん/簀縁
竹または板を目透かしに竪または横に張るもの。すのこぐみ/簀組
縁下なる斗組。すのこのぬすみ/簀子の盗み
〜 簀子の下に横たわる竹を盗竹という、床下に隠れて繋縛せらるるを以ってなり。〜すばしら/須柱
築地の表面に現れる柱。すはまがた/洲濱形
円を三つ繋ぎたる形をいう。すはまおにがわら/洲濱鬼瓦
棟の端に附したる瓦にして洲濱形のものなり。略して「洲濱」という。すぶた/簀蓋
板を目透かしに並べて作りたる蓋をいう。下水溜桁などにあり。すべた/スベタ
女を卑しめていう語。〜 安政七八年頃より、よからぬ女をスベタというは、骨牌より出たる詞とぞ。〜 (スペードのこと)すべり/辷
辷木、辷車、などの略語なり。すべりき/辷木
摩擦を減ずるため雨戸下などに付けたる薄い樫板をいう。溝樫、埋樫などの別名あり。すべりぐるま/辷車
摩擦を減らすため雨戸下などに取り付ける車をいう。すべりたいせんつぎ/辷大栓継
追掛大栓継に同じ。すべりだん/辷段
追掛大栓継などに於いて鎌の如き段をいう。すべりば/辷刄
板の傍を斜めに削り刄の様にしたものをいう。すぼり/窄
塀又は柱などの上方狭まるものに在って下よりは上方の狭まる程度を表す語なり。すぼみ/窄
「すぼり」に同じ。すまおい/須覆
入母屋前包みの雨押えをいう。すまづけ/隅付
火鉢の外板などの如く直角に出会いたる二つの板を強めるため三角形の木の小片を取り付けること。またその小片をいう。すみ/須弥
宝珠の玉台をいう。須弥は受座、缺首、敷座の三つより成る。すみ/墨
規矩法の語なり。線をいう。すみはがきにすらせふではおににもたせよ/墨は餓鬼にすらせ筆は鬼に持たせよ
墨を磨るにはにるべく力を用いず徐にすることを要する。これを急にすれば発墨がよろしくない。筆は…すみいし/隅石
出隅に据付たる石。すみいれ/隅入れ
直角の角を少しく入こましめたる形。図は隅入りの縁にらい分をふしたるものなりすみいと/墨糸
墨壷に附属したる糸をいう。「すみつぼ」を見よ。すみえんかづら/隅縁葛
「すみさす」を見よ。すみかけ/墨掛
大材より板若しくはその他小材を取るためにその木口に墨さしにて要する形を印することをいう。墨掛寸法は賽寸より少し大きくなすべきなり。すみかけだいく/墨掛大工
墨掛けに堪能なる大工をいう。すみにちかづければくろし、しゅにまじわればあかし/墨に近づけば黒し、 朱に交われば赤し
朱に交われば… に同じ。すみからくさ/隅唐草
雨流れの相会する所に用いる軒先の瓦をいう。すみからすみまで/隅から隅まで
遍くゆきわたること。すみがわら/隅瓦
雨流れの相会する所に用いる瓦を称す。即ち隅棟下の瓦なり。すみぎ/隅木
隅棟下にある木にして垂木の端を受けるものなり。すみきり/隅切
方形又は矩形の角を缺取りたる形をいう。これを隅取ともいう。すみさし/墨差し
竹べらで作る。幅の細い方は頭と呼び、筆の代用とする。すみさす/隅扠首
縁隅木又は隅縁葛ともいう。縁側の出隅よりその面に四十五度の角度をもって突出する木をいう。すみつぼ/墨壷
墨糸にて直線を書き、墨を利用して各印を記入する。@糸口/壷口 A壷池/池 B糸車/壷車 C壷尻 /尾部 D軽子(かるこ)/仮子・猿子・カルコ E回手(かえで)/廻手 F壷糸/墨糸・墨縄 墨付け(墨出し)作業をするときに使用する道具です。カルコの針を始点として引き伸ばした墨糸を指ではじくと、墨汁を含ませた壷綿(墨綿)の中を通った壷糸から墨汁が飛び散る(?) ことによって直線を引く(印す)ことができます。仕上げ材などで加工後に墨の印を消したい場合は朱墨を用います。 (朱色は紫外線によっても消色しやすいと聞きました)
すみこうばい/隅勾配
小屋組の隅木の勾配のこと。すみだるき/隅垂木
「隅木」に同じ。すみだん/須弥壇
「しゅみだん」というべきなり。仏像を安置する台。すみざ/須弥座
「しゅみざ」という場合もあり。石灯篭においての中台のこと。すみと/角斗
鬼斗に同じ。すみともえがわら/隅巴瓦
雨流れの相会する所に用いる巴瓦。すみとり/隅取
「隅切」ともいう。矩形等の角を缺き取りたる場合にいう。すみとりいすか/隅取隅
竿縁などの如く下端と両面は見え上端は見えぬものに用いる継手にして左右及び下端の接合は筋違いなり。すみとりすみ/隅取隅
竿縁など下端と両面が見える物に用いる継手。左右下接合は筋違。すみはがきにすらせよふではおににとらせよ/墨は餓鬼に磨らせよ筆は鬼に持たせよ
墨は力を入れて徐ろに磨り、筆は力をこめて勢いよく使うべし。[本朝俚諺]すみばり/隅梁
隅木と同じだが勾配がなく45度に取り付ける梁すみひじき/隅肘木
隅に出る肘木。裏目にて計る。直角ならば一遍に対して45度の方向にある肘木すみむね/隅棟
方形又は寄棟造りの屋根において雨流しの相会する所をいう。すみゆきさねひじき/隅行實肘木
實肘木に拘らず凡て隅何々と称するは、付図において隅木に平行なるものをいう。隅實肘木又は隅何々というも同一なり。すみよしづくり/住吉造
神社造り方の一つ。すみをうつ/墨を打つ
墨糸にて木材等にて黒線を印すこと。すみをなめてさけをのめばおにになる/墨を嘗めて酒を飲めば鬼になる
俗説。ずめんたけ/図面竹
竹に塩酸をふりかけて模様をつけたもの。和室天井材の竿縁などに使われる。すやきどかん/素焼土管
くすりを掛けて素地のまま焼きたる土管にして煙筒などに用いるものなり。すやね/素屋根
上屋に同じ。すりこぎでいもをもる/擂り粉木で芋を盛る
すべり落ちて盛り難きに喩う。すりこぎではらをきる/擂木で腹を切る
不可能の喩。すりこぎにしめ/擂木に注連
不適合の喩。すりこぎのあなにいとをとおすよう/擂木の穴に絲を通すよう
容易なること。すりこぎやろう/擂木野郎
人を罵る語。すりざん/摺桟
雨戸又はその他引戸の下桟をいう。すりじょうぎ/摺定規
敲き又は漆喰塗り等の上を平らにするために充つる定規をいう。ずるちん/ズルチン
page55 引用 〜 同君は珍しく甘味若干入手したとて爪哇珈琲と砂糖とズルチンを恵興されたので、 家族一同で賞美、旅行の幸先大吉だといって喜び合った。〜 引用終わり(天沼俊一著 成虫樓随筆 続続 国立国会図書館デジタルコレクション)
爪哇珈琲→ジャワ(Java)コーヒー
ズルチン→dulcin(砂糖の250倍甘いという人工化合物・戦後に大量に使用された・毒性有り)、 ちなみにチクロは、砂糖の30倍から50倍の甘さの人口化合物