と/斗
斗は「ます」とも読み、斗きょうにあって部材の抱き合いを助ける役目を持つ。 平面形は正方形または長方形で、古い時代ほど成が大きく後世は成が小さい。 立方体の下部を刳りとって底面を小さくして柱やきょう(木へんに共という漢字) の上に載るようにされている。と/戸
風雨寒冷を防ぐため窓、出入り口などに設けられた塞ぐもの。とあたり/戸当り
戸が行き過ぎないように柱に打ち付けるもの。どい/土居
土居桁の略。瓦葺下の土を承るための板葺をいう。破風の前包み下の熨斗瓦の部分もいう。というけいし/樋受石
竪樋下なる石。どいげた/土居桁
軒桁の上に束を立ててその上に乗せる桁のこと。桔木または出梁を支える。どいげた/土居桁
小屋内に在って桔木、若しくは出梁を支える桁をいう。
といしはかりるといわずしてくれろといえ/砥石は借りると言わずしてくれろと言え
信州の諺。砥石は使用により容積を減ずればなり。といしをおんながまたぐとわれる/砥石は女が跨ぐと破れる
どいた/土板
脇障子の板。といつりかなもの/樋釣金物
軒樋を釣る金物。どいとくさ/土居木賊
厚さ一寸五分を十二枚扮にした土居葺きの板で長さ一尺幅三寸四分程。どいぬり/土居塗
屋根瓦下を荒木田土で塗る場合をいう。どいばり/土居梁
土居桁と同じ。どいぶき/土居葺
屋根下地として葺くこと。どいぶき/土居葺
屋根瓦したなる薄下葺をいう。とう/塔
仏舎利を祀ったインドのストゥーパを起源に持つ塔が、中国の楼閣建築と融合し、多重塔の形となって日本に伝来した。古代中世には七重、九重の塔も建られたが五重と三重の塔が現存している。どういたぶき/銅板葺
銅板で葺いた屋根をいう。どうがい/胴飼
石垣における間地石の左右の間隙に飼う石片をいう。とうかくがほう/等角画法
均等画法ともいう。アイソメ図。どうぐおどし/道具嚇し
技量なくして、器具により人を嚇すをいう。どうぐたたみ/道具畳
数寄屋において點茶の時、主人の座る畳でその前には必ず爐がある。どうぐだてするものはしごとがおそい/道具立てするものは仕事が遅い
「下手の道具調べ」ともいう。どうぐやはめがきいてはしょうばいにならぬ/道具屋は目が利いては商売にならぬ
鑑識なくて無遠慮に安買するより利ありとの意。どうとうがらん/堂塔伽藍
page65より引用〜 坊さんの方では却て、『堂塔伽藍は、幾度も焼くべし、また幾度も建つべし』というのが、本来の趣旨らしく、 昔は伝道上の広告という方便の為に、自ら堂塔を焼いた事もあったようである。 〜
国立国会図書館デジタルコレクションの上司小剣著『金魚のうろこ』 より。
とうす/東司
便所のこと。禅寺では浴室とともに七伽藍堂に数えられ左右対称の位置に配置された。とうげ/峠
軒桁上端の垂木下端になる所。山の一番高いところ。国字である。とうざい/東西
日本人の空間意識。東西、裏表。鳥取県・神魂神社の本建築は東を向き、神座は 北を向くという。どうざし/胴差
長い柱を立てたときに、横につないで竪固にするために中間に入れる背の高い横材。どうさん/胴桟
扉の中程にある横桟。どうじょうじ/道成寺
左は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 2 に収載されています。どうぞくにもじんぎ/盗賊にも仁義
「盗賊にも三部の理あり」の類。どうせん/胴栓
横面をより打ち込む栓。どうじめぼると/胴締めボルト
腰固めとうしろう/とう四郎
素人を逆さにいう。江戸語。どうじゃばら/胴蛇腹
建物の中程にある蛇腹。どうじゃくり/胴決
銅棟などにおいて腹板の部分の決めた所をいう。どうじん/道神
⇒ 塞の神どうす/東司
⇒ 雪隠どうつき/胴突
「土突」轉訛。地固めをいう。どうつき/胴付
ほぞの根元周りの平面をいう。どうつきのこぎり/胴付鋸
長さ七寸程の小鋸でその甚薄い故に脊に鋼の溝鐵をはめて撓屈を防ぐ。脊鐵鋸ともいう。どうつきはぎ/胴付矧
床板等を縦に突き付けたときにいう。どうなげし/胴長押
腰長押と同じ。どうなわかけ/胴縄掛
「うまや」。どうぬき/胴貫
腰貫と同じ。山留の腹起のことをいう。どうばめ/胴羽目
中央部にある羽目をいう。門などにおいて腰貫の上下に羽目ある場合に下方を腰羽目といい、上方を胴羽目という。どうぶち/胴縁
板塀の板、又は竹垣の竹などを取付けるため柱に横へ打付ける狭い木、又は竹をいう。どうぼう/同朋
足利時代(室町時代)に将軍や貴人に抱えられて給与を受けた一種の近習役。 世才に長じた僧形をなし、主として茶事や給仕に侍していた。鑑定に秀で故実に長じ、詩歌、香道、茶道、花道、書道、造園の才を有していた。 僧形だが俗人であるので、阿弥(形式上出家をしたので南無阿弥陀仏から名前をとった)を称し、(諸芸の専門家という意味で) 「能阿弥」、「相阿弥」、「善阿弥」、「芸阿弥」、僧体を為していることから「茶坊主」ともいった。 桃山時代は「茶頭(さどう)」とも称した。「同朋」を初めのうちは、童坊、童朋、道朋とも書いた。とうほうさく/東方朔
左は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 3 に収載されています。とうま/等間
同距離と同じ。とうりょう/棟梁
大匠をいう。とうりゅうもん/登龍門
〜 龍門は黄河の上流に在り、鯉之を登り得れば、化して龍となるという、 由りて人の栄達するに比す。〜どうろく、へいろく/道六、平六
平凡の輩をいう。〜 どいつもこいつも道六平六ばかりぢゃ 〜どうわ/胴輪
大八車の玉が割れにくくするために取り付ける鉄の輪のことです。いちおう焼ばめしてありますが小径であるため緩む可能性が大きいです。緩くなったら胴輪を切り縮めて溶接して再び焼きばめするようにします。カマの割れ防止のために取り付けます。本来は焼きばめして取り付けるべき部材ですが、金メッキしてあるので、それができず鋲で取り付けています。
とおしかせ/通械
根械の中の、柱から柱へ至るもの。とおしだな/通し棚
水屋に造り付けられた二段の棚のうち、上段にある杉の一枚板をいう。下段は杉板との 間に二本の竹を挟んだ「すのこ棚」とおしぬき/通貫
家屋の壁貫のこと。とおしほぞ/通ほぞ
ほぞ穴を有する木をほぞが全て貫くときにいう。とおみやぐら/遠見櫓
遠方を望見するための高塔。とおり/通り
一直線の意味。とおりたたら/通たたら
勾欄の地覆より架木に至る束を言う。とおりだな/通棚
一文字棚に同じ。とおりちがいだな/通違棚
一文字棚の上に違棚のあるもの。とおりびき/通挽
木挽きが木を挽き割る通數をいう。とおりひじき・とおしひじき/通肘木
組物において肘木が次の組物の間を通っている肘木。 一筋に通った組物の上に一本の通った横木(肘木)をのせる場合。→組物とおりむかいだな/通向棚
二つの違棚を向い合わせてその下方の棚板は共通なものとする。どか/土火
樹木のほか、主として土の表面の可燃物のみが燃焼する山火事のこと。とが/栂
京都地方の語。とかえりのはな/十かえりの花
松は百年に一度、千年に十度、花を開くという。とかげのさんねんぼし/蜥蜴の三年干
痩せたる人に喩う。とがた
ますがたに同じ。どかた/土方
土堀人足をいう。とかみ
雅語。ねずばしり。とかど/外角
桁等の様な横木において垂直面と斜面との交わる稜角をいう。とがりづち/尖槌
かなづち。ときわ/常盤
左は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 2 に収載されています。ときわぐさ/常盤草
松の異名。どくきゃく/独客
(双方が相等に熟達した)主客二人だけで行う茶会。一客一亭(いっきゃくいってい)どくのこころみ/毒の試み
極めて危険なる試みに喩う。ときょう/斗きょう(木へんに共という漢字)
組物のこと。中国系の建築に共通してみられる構造材で、軒下にあって、柱と梁や桁との結節点に配される。斗ときょう(木へんに共という漢字)を様々に組合せ、あるいは その噛み合せや背を増減することによって積み上げ高を加減し、軒や屋根面の反りに 備えてゆく下地を作ることができる。@挿し肘木(さしひじき)
A方斗(ほうと) 肘木を十文字に受ける
B巻斗(まきと) 肘木を一方向に受ける
C通肘木(とおりひじき・とおしひじき)斗きょうを連絡←名称 不確かです
D枠肘木(わくひじき)十文字に組み合わされた肘木←秤肘木かも…名称 不確かです
E拳鼻(こぶしばな)
ときわぎ/常盤木
常緑広葉樹のこと。樹木には常盤木と落葉樹の区別がある。ときん/頭巾
兜巾とも書く。柱上を方錐形になった部分。とぐり/斗繰
斗の下部のえぐれた部分。上で広がり、下でつぼまっている。とくさいた/木賊板
小社または庇などの屋根を葺くのに用いる薄板でこけら板より厚く栩板より薄い。とくさぶき/木賊葺
木賊板にて葺いてある屋根をいう。とぐるま/戸車
引戸を動かし易くするためその下方または、上方に設置した車。とけいだい/時計台
大時計を設置してある高塔。屋根の上に多くあり。とこ/床
床の間の略称。とこ/床
茶室上座の位置に設けるもの。 利休床、板床、踏込床、洞床、壁床、がん破床、原曳床、蹴込床、袋床、塗廻床、釣床、桝床、織部床など。とこいた/床板
床の間のゆか板。どこうじん/土公神
土を守護する神なので最も崇め敬うべきである。家の中にあっては、竈を土公神と祭り土の徳をあがめて 竈神とも荒神(こうじん)ともいう。人間の生を保ち、五穀百葉が成熟するのはひとえに土公神の賜であるからして、 常に青松または榊を立て、清らかにして朝暮に燈(ともし)を明かし家福盛昌を祈るべきである。 刃物を近づけたり不浄なものことは忌み慎むべきである。土公神は四季巡守の方位がある。春は竈に在るので春は窯を築かえるのは悪い。夏は門に在るので夏は出入門の 普請をするのを忌む。秋は井に在るので秋は井戸の普請をするべからず。冬は庭にあるので冬は庭の 普請をするのを見合わせるべし。
「つち(犯土)」参照。
とこかまち/床框
床前にある化粧木で床板又は床畳の端を隠すために用いる。とこさし/床挿し
床の間に畳や天井棹縁が縦に突き刺す形。切腹用の部屋の造りであるなどという 俗説があるほど嫌われる。が、書院造りの初期、室町・桃山時代の建物には 京都醍醐寺三宝院表書院等多く存在する。とこだな/床棚
床脇にあるたな。とこまえ/床前
床の間の前の畳。とこばしら/床柱
床脇の化粧柱。とこぶち/床縁
床框。ところふうぞく/所風俗
地方地方にて風俗の異なるものなるをいう。とさえ しょだい たかおのず/土佐絵 初代 高尾ノ図
左は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 3 に収載されています。とざし
雅語。閂と同じ。としはづき/年初月
正月の異名。 〜 梅もはやさかりになりぬ年初月、名もめづらしくなりにけらしな。〜としよりとくぎあたまはひっこむがよし/年寄りと釘頭は引込むがよし
老人のですぎを戒める諺。「年寄りと釘頭は引込むほどよい」ともいう。としよりとぶつだんはおくところがない/年寄りと仏壇は置所がない
「年寄も世帯道具」などあり。とじり/斗尻
ます尻ともいう。とじゃくり/戸決
戸の当たる様に枠を決りたる部分。とずり/戸摺
引窓の戸脇にある枠で、戸はその上に上下する。どぞう/土蔵
木造で外部は壁造りの建物。どだい/土台
建物の最下部にある横木。どだい/土台
車持土台と中土台舵取り装置の付く屋台には前輪を取り付けるための車持ち土台があります。大土台の内側に車輪が収まる屋台には中土台があります。(縦中土台・横中土台) 補足>前輪が回転できるようにした鉄の台座は「臼(うす)」と呼んでいます。
とだすけ/斗助
とつなぎに同じ。とたん/亞鉛
あえんともいう。とたん/トタン
もともとペルシャ語から出てアラビア語を経てポルトガル語となった。 鉄線や鉄板の表面を亜鉛メッキした亜鉛板のことをいうが、 方亜鉛鉱、菱亜鉛鉱など天然の化合物としても産出するらしいる 日本では寛永以前から南蛮より輸入によりまかなわれていたという。 ブリキは鉄板の表面を錫メッキしたものでポルトガル語。とたんのくるしみ/塗炭の苦しみ
塗は泥、炭は火の意、水火の苦しみという如し。とたんぶき/亞鉛板
あえんいたともいう。とちいた/栩板
能舞台または、堂社などの屋根を葺くために用いられる板。とづか/斗束
勾欄の地覆と架木との間にある束。とっこほぞ/獨鈷ほぞ
柱やその他へ指木を仕込む場合に用いるほぞ。とねまるがわら/利根丸瓦
蓑甲の止まりにある丸瓦にして横断面においては一方が図の様に長くなっている。どつちゅうしつ/土中室
地中室に同じ。とつなぎ/斗繋
斗助ともいう。とちぶき/栩葺
栩板で葺いた屋根をいう。とって/把手
家具、ドアなどの握りの部分。とどまつ/とど松
北海道の木材の一つ。その用途は広く恰も内地の杉の様。とのこ/砥粉
焼けた粘土あるいは砥石を粉砕した粉末。水に溶かした泥状の 液体をボロ切れに浸して木材の表面に塗布する。保護や目止めの効果。どば/土羽
法面を土羽土を使って面を締めること。芝をつけないと土羽工、芝をつけると土羽芝付工。どばいた/土羽板
土羽芝付工のとき芝草を地中に埋め込むために厚板に柄を取り付けたもので埋土を叩く。その道具のこと。どばつち/土羽土
法面を仕上げるために使う粘性がある土。とびいし/飛石
庭の所々に置いてその上を歩くための石。桃山時代に利休が発明し、中国には事実も言葉もないという。とびすみ/飛墨
点線に同じ。とびしゅ/飛朱
朱の点線。とびにんそく/鳶人足
略して鳶という。足場などを建てる。とびのお/鵄尾
くつがたに同じ。軒唐破風の破風板の上の裏甲の端を鵄尾と称す人もいる。
とびばり/飛梁
小屋束の下に小屋梁がない場合に、束をうけるために小屋梁に梁を架した梁。とびもの/飛物
飛梁に同じ。とびら/扉
開戸。または門の戸。とびらのしょうぞく/扉の装束
古語。扉の框及び桟などに付く化粧金物。 その目的は框桟の接合を強めるため、且装飾のため。とぶくろ/戸袋
雨戸を入れるもの。どべい/土塀
築地に同じ。どほうがかい/土崩瓦解
土の崩れ落ち、瓦の砕け離るる如く潰乱するをいう。どぼく/土木
civil engineering 土と木のことではなく「土木技術」というような土木。とぼそ
雅語。扉と同じ。とぼそ
雅語。軸穴に同じ。どま/土間
間内において床がなく土のままの所。とまふく/苫ふく
商品などを外に出さずして、貯蔵すること。とまら
古語。扉の竪框の上下に突出しえる部分。とめ/留め
枠や長押など 二本の木が直角に交わる部分をそれぞれ半分づつ45度の角度で切り取って接合すること。 外から見える部分だけを留めにすることもある。とめぶたかわら/留蓋瓦
略して留蓋ともいう。隅棟または降棟の軒近くにある特種の瓦。上には動物等の飾りがある。「雨蓋瓦」ともいう。ともえがわら/巴瓦
疏瓦とも称す。丸瓦の中で最も軒の近くにあるもので、その鏡に巴文がある。ともがい/供飼
石垣尻の間隙を充たすための石片。とよせ/枋
雅語。戸當に同じ。とら/虎
(彫刻)中国における百獣の王。白虎と称し、青龍(東=卯)、朱雀(南=午)、玄武(北=子) とともに西(=酉)の守護神、四神の一つに数えられる。四神は風水思想に基づく地勢学として 平安京や社寺の立地条件として応用され、神社の祭礼には四神旗が用いられた。四神の うち「龍虎」は強者の双璧とされた。また虎の彫刻は御祭神のシンボルとして用いられる こともある。彫刻の組み合わせはで竹が圧倒的に多い。 日本人にとって虎は未知の神秘な霊獣の虎であった。竹と虎の取り合わせは、法隆寺にある玉虫厨子の須弥座に描かれる「捨身飼虎図」にも見出せるという。その図は「金光明経」によるもので、釈迦が虎の親子が飢えているのを憐れみ、我が身を与えるために竹が生える谷底に身を投じたという物語。よって古くから虎は竹林に棲む動物とみなされていた。虎には霊力を祓う霊力があるとされ、中国では古くから護符に用いられているが、日本にも「竹と霊力」が伝わり、疫病除けのお守りとして張り子細工の虎が作られている。掛け軸の図柄も有名。また、日本では縞があるものが雄虎、丸紋の豹が雌虎と考えられていたというが、女性の着る豹柄の着物には悪魔よけの霊力があるのかもしれない。寅年生まれの女性に千人針を縫ってもらうのは「虎は千里行きて、千里帰る」という言葉に託してのこと。虎の糞中の骨を灰に焼いて酒に混ぜて飲ませると酒が嫌いになるそうです。とらつな/虎綱
ひかえづなと同じ。とらのとしはこうずい/寅の年は洪水
俗説。とらのまき/虎の巻
秘伝の奥の手をいう。どらむしきぶれーき/ドラム式ブレーキ
ドラムブレーキは効きが良い反面、左右の調整が正しく行われていないと片側の車輪のみが効いてしまうということがあります。この写真の屋台のように、土台の内側に車輪が納まる場合は、ブレーキ本体の調整が困難なためロッドではなくワイヤーロープと滑車を用いて左右のブレーキを均等に引っ張ることのできるような工夫をしています。中央の写真は旧式のドラム式ブレーキ(ブレーキドラムを外してシューが見えている状態)。下の写真は新式(同じくブレーキドラムを外した状態)で、トラック用のブレーキを流用しています
とらやくし/寅薬師
薬師如来の縁日寅の日なるよりいう。とり/鶏
(彫刻)鶏は弥生時代に渡来人がもたらした家畜であるが、食用ではなく夜明けをもたらすものとして神聖視された。7世紀の肉食禁止令でも食用を禁止された。鶏の代わりに雉・鶴・鴨などが食されたが、江戸時代に入ると南蛮料理伝来や野鳥乱獲の影響で鶏(ニワトリ)を食べる習慣は次第に広まってゆく。「かん鼓鳥」と称して太鼓の上に止まった鶏の図像は天満宮(1606)の脇障子など各地の社寺に見られるという。江戸中期以降は「かごめ」(かごに入った鶏)の彫刻も見られたらしい。とりい/鳥居
神域と俗世界との境界であり、 神社の象徴となっている鳥居は、鳥(鶏)や神祭に関わりがあるそうです。古来、 鳥は霊魂を運ぶものと考えられ、遺跡からは鳥型の遺物も発掘されていることから、 文字通り、鳥の居るところでした。(東南アジアにも似たようなものがあるらしいです) 鳥居は、垂直に立つ二本の柱と、水平で直線的な笠木、貫から成る神明鳥居(伊勢神宮)が祖型。その祖型に、島木と額束をつけ、柱を内転びに傾けて、笠木と島木に反りを付けたものは明神鳥居と呼ばれます。鳥居は構成が単純なだけにさまざまな変化が見られ、神社の名にちなんで、春日鳥居、山王鳥居などと呼ばれています。安芸の宮島、厳島神社の社殿前の海中に建つ現在の鳥居は、根付きの楠(台湾から輸入したクスノキ)造り。 立て替える前の鳥居も楠であったが、楠の樹脂が樟脳であるので、鳥居であったことにより神格化された楠を香木としてたいているという。 なお、孫子の代に鳥居として使うための楠を宮島で育てている。
とりい/鳥居
神社の前にある門のようなもの。「鳥居」の文字は平安朝初期の文書に表れるが偽書として黙殺されている。 さまざまな形や名称の鳥居がある。下図は明神鳥居(みょうじんとりい)、明神鳥居にしても木割法はいろいろあるので一例。A:笠木(かさぎ)または蓋木、冠木、最上部の横木のこと。
B:島木(しまき)。
C:貫。柱の内側だけを結んでいるものは中貫。
G:柱の上方、下方は中部に対してやや細めに仕上げる。(エンタシスを持たせるようにする)
F:反り(そり)。
H:ころび。
島木と貫の間、中央の束は額束。
神輿の鳥居にあっては用材槻木、根ほぞを箱台輪に(箱台輪床面に接する柱の芯から垂直に)深さ三寸五分差し入れ、込栓にて打ち堅める。
とりぶすま/鳥衾
降り棟の鬼瓦や鬼板の上部に取り付けられた巴瓦円筒状のもの。鳥休めともいう。とりいだて/鳥居建
二本の石などを柱建てとなしその上に、横石、又は横木などを載せたる場合にいう。とりいつか/鳥居束
小屋組みにおいて左右に相対してある垂直の束をいう。とりかぶと/鳥兜
木鼻の一種。とりはずしばしら/取外柱
かんぬき。とりぶきやね/取葺屋根
扮木を並べ押さえに石。または丸太などを載せたる屋根。とりいだな/鳥居棚
床脇の棚の一種。中央の棚は左右の棚より高い。どれきせい/土瀝青
地瀝青ともいう。とろ
モルタルと同じ。どろいた/泥板
春日灯篭の基盤をいう。どろおうつ/泥追津
泥色をした壁。どろおおつ/泥大津
壁の上塗土。どろぬり/泥塗り
上塗。どろはじき/泥はじき
建仁寺垣の最下位の胴縁の別名。どよう/土用
「旺」は旺盛や旺然など、元気で盛んなさまを意味する漢字。「土旺」(どおう)が訛った言葉。どよう/土用
1年356日を4で割ると91日余となり、このうち(直前の)18日を土が主る土用という。 土用は気壮(きさかん)にして変化する季節であるから、人は病を生じやすく 草木禽獣も変化するのである。これを以って土用の間は土を犯す事を慎み、鍼灸を忌むべし。 病があって土用中にも鍼灸をしなければならない人は、土気平和なる間日(まび)を考えて 行いなさい(四季の土用の中でそれぞれ3日つづある)。夏の土用は専一に用心し身を慎み房事を禁じ養生しなさい。どようのうしのひにうなぎをくえばくすりになる/土用の丑の日に鰻を食えば薬になる
俗説。この日にウナギを食べることを提案(宣伝)したのは平賀源内と言われているが、平安時代にも土用の丑の日に黒いもの(うなぎ・ゴボウ・なまず・黒牛・ハモ)を食べるとよいとされたたそうだ。さらに奈良時代から夏の滋養としてウナギが広まっていった可能性があるという。食べ合わせは陰陽五行説の影響を受けた禁忌の一つで、科学的な根拠のあるなしに関わらず日本人に根づいています。どようのしびとをぬすびとのとりたる/土用の死人を盗人の取りたる
土用に土を動かすを忌むより、死人を埋葬せずして置く風習ありたればなり。どようのたけのこ/土用の筍
土用に生ぜし筍は生育して竹とならざるより、出たばかりにて甲斐なきことに喩う。 「土用の筍出たばかり」ともいう。どんぐり/団栗
丸いクリのような木の実。 スダジイのどんぐりは渋みがなく煎ってもそのままま食べられるのに対し、 カシ、コナラの何間のどんぐりはアクが強いため木灰と一緒に茹でたりしてアクを抜かなれけば食べられない。 トチのアク抜きには20日近くかかるという。とんぼ/蜻蛉
page92 引用 〜 蜻蛉が割合に建築又は美術工芸品等の装飾文様に出て来ないのはどうも 不思議である。蜻蛉が出て来るのも、桃山位が最も古いのではあるまいか。京都高台寺 霊屋の厨子の扉、いわゆる高台寺蒔絵等、あんなに立派な秋の七草がかいてありながら、 虫一匹飛んでないのはどういうものか。 〜 引用おわり(天沼俊一著 成虫樓随筆 国立国会図書館デジタルコレクション)