ABC

あい/間

あいだに同じ。「垂木あい」は両垂木の間なり。すなわち空間をいう。

あい/藍

Indigo。天然色素の一種。

あいおれくぎ/合折釘

L字形の釘にして両端尖り居るものなり。襖の縁を骨に取付けるときなどに要するものなり。

あいかき/合欠

継手又は組手において二つの木を各半分ずつ缺取て合わせたる場合にいう。

あいかきほぞ/相缺

指物職の語。

あいかきかま/合欠鎌

略鎌継に同じ。「りゃくかまつぎ」を見よ。

あいかきづくり/合欠造

建具職の語なり。雨戸の出合框を合欠に作りたる場合にいう。

あいくぎ/合釘

両端尖る眞直の釘。

あいくち/合口

石積みにおいて竪目地の一部にして壁の表面に近い部分をいう。

あいじゃくり/合决り・合溝欠

板の傍を半分づつ欠き取って合わせる接合方法。合欠きともいう。

あいじゃくりばり/合決梁

床板などの張方の一方にして板の矧目を合決になしたるもの。

あいのかね/間の矩

大小に勾配の平均をいう。

あいのま/相之間

主なる二つの部屋の間にある間。即ち「間之間」なれど紛らわしい故「相之間」と書く。

あいば/合端

「あいくち」を見よ。

あうん/阿吽

サンスクリット語における最初と最後の字音。日本語も梵語の配列の影響を受けてて 出来たという。阿吽は初めから終わりまでということから一切のすべてを意味し、 密教の世界では「あ」はすべての根源であるとされる。鎌倉時代に造られた東大寺 南大門の仁王(金剛力士)像は、一体は「あ」と口を開け、一体は「ん」と閉じている 状態で、仏を守護している。狛犬にも「阿」型(向かって右)と「吽」型があることが 知られているが、守護役の聖獣(唐獅子・象・虎・龍/鬼瓦の鯱)は阿吽のペアになっ ていることも少なくないという。

あえん/亜鉛

Zinc。「とたん」。 板金になった亜鉛の表面を空気と湿気に晒すと、ねずみ色の薄層を形成し、内部の亜鉛を酸化しにくくする効果があり、ガルバナイジングとして建築等で広く用いられる。

あおいし/青石

青緑色をした庭石の総称。「緑泥片岩」を指すことが多い。

あおたたみしいたよう/青畳敷いたよう

波なき海の形容。

あおと/青砥

常陸大泉の青砥は粘板岩なり。道具の刃を研ぐに始めに用いるもの。

あおどり/青鳥

未熟者のこと。

あおにさい/青二歳

年若き男を卑めていう語。黄口、乳臭などと同じ。

あおぬり/青塗

淡色の製漆に青色顔料を混ぜて塗布したもの。

あおはあいよりいでてあいよりあおし/青は藍より出て藍より青し

弟子の師にまさる類のことをいう。

あか/赤

風土記などの解説本には、 鹿の血に稲を蒔いたところ早く発芽した。神功皇后はニニギの託宣により、赤土を軍船や衣服など に塗って海を渡ったところ、さえぎるものがなく新羅を平定できた。赤湯泉の赤い泥を家屋の柱に 塗ることによって悪霊の侵入を防いだ。という記述があることから、 屋台の漆塗りにも用いられている「赤」(朱)には、霊的な呪術性があるのかもしれません。

あか/淦水

インド語にして、船底に溜まる水のこと。

あかいた/銅板

銅板のこと

あかがし/赤樫

支那にてはこれを「血樫」という。その材質は堅硬にして木理細密なり。

あかがね/銅

Copper。

あかしんちゅう/赤真鍮

銅の分量が亜鉛の一定量に比べて多く赤みを帯びている真鍮。亜鉛8〜18に対し銅92〜82のもの。

あかすさ/赤すさ

和船用古綱の澁に浸したるものを切り解いて得たすさをいう。「硝石すさ」をもいう。

あかぬり/赤塗

淡色の製漆に赤色顔料を混ぜて塗布したもの。 黒漆塗りの次に広く用いられる。天智天皇時代に朱または辰砂を和して厨子を装製したのが始まりとされる。

あかみ/赤見

杉松等の中赤色を帯びている部分をいう。

あがりかまち/上り框

玄関などの上り口の框のこと。

あかりしょうじ/明障子

薄紙又は絹などに貼りたる障子。即ち現今の普通の障子なり。

あかりどこ/明床

「附書院」に同じ。

あかぼう/赤帽

Luggage Porter。手荷物運搬人。

あかんとす/アカントス

Acanthos。或る植物の形態を硬化して装飾的なものとしたもの。柱頭装飾(オーダー)に用いられたりしている。

あき/明

「あいだ」に同じ。「垂木あき」「窓明き」など。

あきはじんじゃ・あきばじんじゃ/秋葉神社

木造建築は火に弱いため、秋葉大権現(神仏混淆)を火伏せの神を祀っている秋葉神社が日本各地に存在する。 ほかに、火伏せの神を祀るのは愛宕神社(あたごじんじゃ)。

あきさまつぎ/安藝様継

「みやじまつぎ」を見よ。

あくたろう/悪太郎

悪戯をする小児をいう。

あくろてりあ/アクロテリア

クラッシックな西洋建築の頂上などに装飾として置かれた像。趣向を凝らした鬼瓦のようなものか。

あくあらい/灰汁洗

壁などを灰汁にて洗うこと。

あくぼく/悪木

『渇しても盗泉(とうせん)の水を飲まず、熱するも悪木の陰に息わず、 悪木あに枝なからんや、土を志すに苦心多し』

あげいた/揚板

台所の床下等の如く凡て物を貯え置く所の上なる板にして取り外し自在なるものなり。揚げるとき指を差込む孔を「手当り」又は「手賭孔」という。

あげうら/上げ裏

上方にあり下より裏の見えるものにおいてその裏をいう。

あげおとしかなもの/揚落金物

「揚卸金物」に同じ。

あげおとしぶた/揚落蓋

「けんどんぶた」を見よ。

あげおとしざる/揚落猿

「揚卸金物」をいう。又木にて作りたるものをもいう。雨戸の揚落猿は普通木製にして横断面は矩形なり。

あげおろしかなもの/揚卸金物

扉又は開窓障子などの緊金物にして上下両方に設けその上方は閉ざすときに揚げ開くときに下げるなり。またその下方はその反対なり。

あげおろしまど/揚卸窓

「あげさげまど」を見よ。

あげつちもん/揚土門

陸屋根を作ってその上に土を載せた門をいう。これを「上土門」とも書く。

あげかま/上げ鎌

貫を柱へ取付けるときなどに用いる仕口の一つにして図の如く端を鳩尾形に作りこれを柱に穿ちたる孔に嵌めた後、貫鼻を上方に揚げて楔を打込み固めとなすなり。

あげさげまど/上げ下げ窓

「揚卸窓」ともいう。窓の一種にしてその障子は垂直に上下しえる様に装置しあるものなり。

あげど/揚戸

竪溝に沿って上下し得る戸にして店造りなどにあり。

あけぼのぬり/曙塗

曙のような塗色を現した漆塗り。刀の鞘に多く見られる。

あさがお/朝顔

伏図または切面図の形が台形即ち袴腰なるものにいう。

あさがお/朝顔

和風便器のこと。

あさがお/朝顔

建築の外部足場工事で落下防護する足場の一部。

あさぎ/浅黄

豆州産凝灰岩の一つなりその産地は下田の西南西にあり。

あさめしまえのしごと/朝飯前の仕事

容易に為し得べき仕事。

あしかため/足固

床下において柱間にとりつけたる丈夫な横木をいう。種類は、割脚固、側脚固、完脚固など。

あしがため/脚固

足堅(あしがため)

あししろ/足代

煉瓦積又は建前等をなすため丸太などにて造りたる仮設物をいう。

あしどまり/足止

屋根瓦下にて土居葺上に横に取付けたる細長い木をいう。

あしどめまるた/足止丸太

登桟橋などの上に横へて取付けたる丸太をいう。滑り落ちることを防ぐために用いる。

あしば/足場

高い所で仕事をするため丸太などにて組建てた構造物をいう。すなわち足掛け。左官足場、杭打足場、等あり。

あしもと/足元

鬼板及び獅子口の左右にある飾りをいう。関東人はこれを鰭と称す。土台以外根太床縁板までを「足元」という。その上を軸と称す。

あしもとがわら/足元瓦

鬼板の左右にある飾瓦。

あしもとぬき/足元貫

柱の根元の貫

あしもとなげし/足元長押

上等の塀などの下方にあり地長押よりは上方にある長押。図は廊下にある長押を示す。

あしもとねだがけ/足元根太掛

地階の根太端を受けるために取設けたる横木。

あしゅらぞう/阿修羅像

興福寺の阿修羅像(国宝)は、奈良時代に乾漆造の技巧により製作された仏像である。
乾漆造による仏像の作り方をテレビで見た。
  1. 細い木材を組み合わせた芯木に粘土を盛り像の大体の形を作る
  2. 手ぬぐいほどの大きさの麻布に小麦粉と漆を混ぜたものを浸したものを像に貼り重ねて像の形を作る
  3. 像が固まったら像の後頭部と背中を四角に切開して、中の粘土と芯木をほじくり出す
  4. 中空になった像の中に、補強のための木枠を組む
  5. 後頭部と背中の穴は、先に切り取った部材を紐で留めて塞ぐ
  6. その像の表面に木屎漆(こくそうるし==漆と木の粉(木屑)を混ぜたもの)で整形して仕上げる
像の繊細な描写は木屎漆によって表現されていたことがわかった。ちなみに、木造仏像の修復に用いられる 接着剤には、数百年の実績があるという理由から、小麦粉と漆混ぜたものが使われているとのこと。

あじろ/網代

杉、桧、桐、竹、ヨシなどを適当に薄くへぎ、斜め縦横に編んだもの。網代天井→床の間や茶室の天井に用いられる。

あじろがき/網代垣

網代組に作りたる垣。

あじろぐみ/網代組

板又は竹などを組み合わせたるものにいう。

あじろど/網代戸

「編戸」に同じ。

あすかけんちく/飛鳥建築

仏教渡来から大化革新の頃の建築は、他の時代と様式手法が異なっているので便宜上、飛鳥時代の建築という。その多くは大和の飛鳥地方にある。

アスファルト/土瀝青

Asphalt。耐水性を有する黒色の鉱物。

あずまや/東屋

「四阿屋」の漢字を充てることがある(家屋雑考)が、屋根が多角形になることもあるので大工用語の漢字としては不適当 であるが、庭園用語としては妥当である場合もある。 庭園などに設けた屋根と柱だけの添景的小建築のこと。 亭(ちん)、園亭、四阿、abbor、cot とも呼ばれ、江戸時代のものを田舎茶屋という。

あずまやつくり/東屋造

屋根の造り方にして隅棟が一箇所に集まる様にしたものなり。

あぜ/畔

敷居又は鴨居の溝の間なる仕切り。溝の外方を「ひばた」と称す。

あぜくら/校倉

方材を横に組立てて作りたる倉をいう。その方材の稜角は各材の中央に現れ切断面を書けば鋸歯状をなすものなり。

あぜばめ/畔羽目

校倉の周囲の如く木を累ね合せたるもの。

あぜりいた/阿迫板

雨柱に竪溝を作り上方より板を柱間に差込むことあり。その取り付けたる板を「阿迫板」という。

あぜりばめ/阿迫羽目

阿迫板の如く柱間などに取付けたる羽目。

あぜひきのこぎり/畔挽鋸

溝を作るために用いる小鋸。

あそぶ/遊ぶ

応力を受けるべき材料にしてこれをうけざるもの又は付着し居るべきものにして離れ居るものなど。

あたらしいきせる/新しい煙管

つまらないという謎。

あたりはこ/アタリ箱

硯箱のこと。スル(消耗)という語を厭いて。

あて/陽疾

板などに樹木の枝曲がり部分が入っていること。

あて/あて

Twisted Fiore of Timber。木材の悪質の部分。多くの木材の背部に生じる発育不足のために生じる。 木理凝結してそりやすく、抗力も弱い。松、杉、槙などに多い。 大工職は、容貌が醜いという意味にも使う。

あつのみ/厚鑿

叩鑿の一種。

あつみ/厚身

鉱山師にて呼ばれる地学上の用語。山腹の地中(坑内)にあって、山の高所のある方向を指して厚身、山の麓に ある方向を指して薄身と呼ぶ。

あて

削台をいう。

あて

悪質の木材をいう。それよりして職人は醜女の意味に用いる。

あとかべ/後壁

厩の繋馬の後方の壁。

あとのまつり/跡の祭り

時機を失したること。「後の祭りするや臨機の放生」

あとばしら/後柱

廐において馬の後足の方にある柱をいう。

あなぐら/穴蔵

地を掘り木などにて支えしめて造りたる倉。

あなもん/穴門

練塀などを穿ち造りたる門。

あばらこまいもの/あばら小舞物

垂木の上に化粧小舞を載せ其の上に化粧裏板を疎に置きたること。裏板直打と区別するための語なり。

あばらだるき/あばら垂木

疎割にしたる垂木をいう。

あばらわり/疎割

「まばらわり」を見よ。

あぶときかんしゃ/アブト機関車

普通の機関車では登れない1/40以上の急勾配で使用する歯車装置付の機関車。

あぶみがわら/鐙瓦

古語なり。軒唐草瓦をいう。「花瓦」、「雅瓦」もこれに同じ。

あぶらむし/油蟲

素見客のこと。「にくきもの、あぶら虫のからさわぎ」人につきまとい妨害をなす者。

あふぎじゅうほぞ/扇重

「おうぎじゅうほぞ」を見よ。

あふぎほぞ/扇

「おおぎほぞ」を見よ。

あふぎたるき/扇垂木

「おうぎだるき」を見よ。

あぶらしょうじ/油障子

「あましょうじ」を見よ。

あぶらすさ/油すさ

菜種油搾り袋にて製したるすさ。

あふり/障泥

雨天乗馬の際、衣服に泥はねがつくのを障るため鞍に用いる馬具。晴天にも飾りとして用いるようになった。 軍陣射撃等の軍用(日本軍)には使用しなかった。熊などの毛革、なめし革のものがあった。

あふりいた/障泥板

神明造りにおいて屋根の棟に付く両脇の板のこと。

あふりとめ/障泥止

扉又は開障子を開きたるまま止め置くための金具をいう。

あふりはふ/障泥破風

古語なり。

あほうとかみそりはつかいようできれる/アホウと剃刀は使いようで切れる

「馬鹿と鋏は…」ともいう。

あま/亜麻

Flax。木乃伊の包衣に使われたとされる。

あまおおい/雨覆

建物等のある部分に雨のかかることを防ぐために取もうけたるものをいう。

あまおさえ/雨押

屋根と煙突との隙間又は内樋と壁との接際のごとくすべて雨の漏泄しやすい接際部を覆うために用いたるものにてその材料は板又は金属板若しくは漆喰等場合により、便宜用いるものなり。

あまおち/雨落

軒先の直下をいう。軒より雨垂の落ちる所に石を並べて据え置くことあり。これを「雨落石」という。縁束より雨落石迄は十尺に付き三寸程の勾配を付するを普通とする。

あまかわ/甘皮

檜皮などの内方にて汁液を多量に含みたる柔らかい部分をいう。

あまくに/天國

大和国宇多の住人にして、文武天皇の鍛工。日本刀工の祖と仰がれている。 天坐(あまのざ)は、天國の子または弟子にして名工。

あまじまい/雨仕舞

雨の浸入若しくは漏泄を防ぐべき方法をいう。「雨仕舞を宜くす」など。

あましょうじ/雨障子

引窓その他外方にある障子にして雨のかかる所あるものなり。紙は普通西の内を用い糊には酢を加え貼りて乾きたる後は油を塗るものとする。「油障子」という。

あまどい/雨樋

Gutter。雨水を支承して流れるようにした溝または箱型の装置をいう。トイ、トヨ、トユとも言う。
軒樋、外樋(露出したもの)、内樋、ヤゲン樋(V字状のもの)、箱樋、谷樋、竪樋、鮟鱇(あんこう)、飾樋と、吐口など。

あまど/雨戸

雨戸は縁側先に建つものにて平常は戸袋の内に仕舞い置き斜雨の時又は夜に及んで取り出すもの。

あまどまわしかなもの/雨戸廻金物

縁側の出隅において雨戸を廻しやすくするため敷鴨居に設けたる金物にしてそれ自身が竪軸の周囲を廻転しえる様になしあり。

あまのさかて/天の逆手

呪詛をなす時の一種の手つき。

あまのじゃく/天のじゃく

人に戻りて、右といえば左という人のこと。天のノザコともいう。天の探女(古事記)。

あまぶたがわら/雨蓋瓦

隅棟の下方にあって瓦の接合を覆うために取設けたる化粧瓦にして動物など種々の飾りをなすものあり。

あまりちゃにふくあり/あまり茶にbり

あまり物にwLりに同じ。昔「茶」という文字は廿の人は十八と書いたこから、「あまり茶を呑めば年がよる」と言った。

あまるがむ/アマルガム

Amalgam。水銀と他金属との合金。アマルガメーションといって水銀を用いて金や銀を抽出する方法がある。

あまよけ/雨除

「あまおおい」に同じ。

あみだどう/阿弥陀堂

西方浄土の主、阿弥陀仏を本尊とする堂。浄瑠璃寺は九体阿弥陀仏を安置する九体阿弥陀堂の唯一の建物。

あみだくじ

の名前の由来は、江戸時代のいろいろな 商品をつけた放射状に広がる紐が阿弥陀仏の背後から出ている後光に似ていたからだという。あみだくじは日本固有のものであるらしく英語でもAMIDA。

あみと/編戸

竹又は葦などを編みて作りたる扉。

あみと/網戸

金網付の戸をいう。土蔵等にあり。

あめ/飴

古書において阿女(あめ)。

あめうけばな/雨うけ鼻

鼻孔の上向きたるを形容していう。

あめふりてんじんひよりこうぼう/雨降天神日和弘法

天神の縁日に雨が多く、弘法の日に晴天が多い。

あやたけ/綾竹

引窓の横に通した竹。

あやすじ/綾筋

獅子口の山形なる筋をいうこれを又「しめ筋」とも称す。

あやすぎ/綾杉

杉の薄板を網代に組たるものをいう。垣などにもちいる。

あゆみ/歩

幾本も並べるものの眞々の距離をいう。

あゆみいた/歩板

根切上などに渡せる板をいう。又足代に渡せる板をもいう。

あらいた/粗板

鉋削りしてない板をいう。

あらいだし/荒出

煉瓦壁の表面を漆喰壁などにせずに顕し置く場合にいう。

あらうち/荒打ち

土蔵壁の最下のものにて土を手に持ち小舞へ打付けるもの。

あらか/殿

古語なり。尊き方の御居處をいいたり。

あらがき/新垣

柱間遠い素質なる垣にして古風の社などにあるもの。

あらかべ/荒壁

土塗壁の下地をいう。

あらき/粗木

鉋削りせさる木をいう。「畳下床板粗木鉋傍取り張立て」など。

あらきだつち/荒木田土

壁及び瓦葺下に用いられるものにして武蔵の荒川沿岸よりでづる粘着力ある土。荒木田原より産する。

あらけずり/粗削

粗仕鉋にて粗末に削ること。

あらしうち/嵐打

木摺を筋違いに取り付けた場合にいう。両方より筋違いに打ちたるは別に「拝打」の称あり。されどそれをも込めて嵐打ちという。

あらしこ/粗仕子

下削りに用いる鉋。

あらつた/荒つた

「荒すさ」ともいう。米俵などを切解きて造りたるつた。

あらべすく/アラベスク

arbesque。 アラビア建築に用いられた曲線と直線の錯雑した結合によって形成する装飾、サラセン建築の壁や床や天井にある装飾、モザイックな装飾のこと。
宗教的理由によって、人類や動物等の天然的形態を用いた装飾が禁じられていた。

ありそうでないのがかね、なさそうであるのもかね/有りそうで無いのが金、無さそうであるのもの金

人の財産はの外部より測り知り難きをいう。

ありそうでないのがかね、なさそうであるのがしゃっきん/有りそうで無いのが金、無さそうであるのが借金

富裕なる者少しの意。

あんまにめかがみ/按摩に目鏡

不要なもの。

あらぼり/荒彫り

屋台彫刻などを扱う
彫師の使う用語で、 彫刻が完成に至る作業過程のうちの一工程を指す。(屋台彫刻などを扱わない木彫師が使うのか使わないのかは、取り引きがないため不明)
  1. 下絵
    彫刻の題材となる図柄を紙(和紙)に実物大の大きさで(墨で)描く作業。
  2. 荒彫り
    彫り物には何か意味をもたせた生物や物語などが題材となることが多いわけで、その題材を鑿で大まかに彫るという作業。
  3. 仕上げ
    題材の人物や動物(架空の生物も含む)に目を描き入れたり、彫刻材の裏に製作日付けや自分の名前を入れたり、見苦しい鑿屑や、残したくない鑿跡を消したり、細部の仕上げ彫りをする作業。

あらぬり/荒塗

壁下塗をいう。

あらまさめ/粗柾目

柾目の中の木理の稍疎遠くなるものなり。糸柾目に対する語なり。

あらめ/粗目

石などのきめの粗いのをいう。

あられ/霰

「石畳」と称する模様に同じ。

あり/蟻

Dovertail。鳩尾の如く先の広がる形。 二つのものを連結するのに好都合なので、仕口や継手に用いられる。 蟻を二つ合わせた千切(ちぎり」もある。 普通、蟻は三角形であるが丸みを帯びているものを「丸蟻」という。 木口蟻、隠蟻、四方蟻、包蟻、寄蟻、燕蟻、篠差蟻、蟻差、吸付蟻、付蟻、兜蟻、蟻掛、蟻落、腰付蟻落、蟻釣、蟻ほぞ、引独鈷蟻、などの用語あり。

ありあな/蟻穴

を入れるための穴。

ありいた/蟻板

破風の拝を固めるために裏に取り付ける桟。

ありおとし/蟻落

縁束へ縁葛を取り付けるとき等に用いる仕口にして図の如きものなり。「ありかけ」を見よ。

ありかけ/蟻掛

一つの木の端を鳩尾形にして他の木の上より嵌めて組合わせる仕方をいう。「蟻落」と同一なれど根太に専ら蟻掛といい竪木の上に横木を蟻にて仕組むとき蟻落しと称するを普通とする。

ありかけわたりあご/蟻掛渡腮

「渡腮蟻掛」に同じ。

ありかべ/蟻壁

「有壁」とも書く。蟻壁長押より上の壁をいう。次を見よ。

ありかべなげし/蟻壁長押

内法長押と天井の間に長押を設けることあり。

ありざし/蟻差

指物職の用いる組手の一つにして図の如し。

ありざん/蟻桟


「吸付き桟=吸付き蟻桟」と同じ。
腰板が反るのを防止するため、腰板に蟻ほぞ穴加工を施し、蟻ほぞ加工を施した桟を取りつけた腰板の補強方法。

ありつぎ/蟻継

一方の木の端を鳩尾形になして作りたる継手をいう。

ありつり/蟻釣り

蟻形になっている釣木のこと。

ありねだ/蟻根太

根太の端を鳩尾形となしたるもの。蟻根太にあらざる普通の根太を「切根太」という。

ありほぞ/蟻

蟻形のほぞのこと。

あわせと/合砥

道具の刃を研ぐとき仕上げに用いる砥にして山城の鳴瀧有名なり白帯黄白色の粘板岩。

あわせめじ/合目地

石又は煉瓦積みの竪目地をいう。

あんこう/鮟鱇

「よびどい」を見よ。

あんこくきりこみさんがわら/安国切込桟瓦

切込桟瓦中の最小なるものにて縦六寸七分幅七寸袖七寸厚五分程あり。

あんどん/行灯

四方指にすることを「あんどん」にするという。


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