に/ニ
アイヌ語で樹木を意味する。に/荷
梁柱等の上に掛る重量。にえ/煮
茶釜の底に漆で取り付けてある薄い鉄板。急に熱したり冷ましたりすると割れやすい。タギリの音をよくするために 取り付けてある。「煮」には、遠波、松風、雷音、蚯蚓(きゅういん)などの種類がある。湯合(ゆあい)、タギリ、ニ沸(にふつ)。にえどの/贄殿
古語。魚、鳥を貯めて置く所。におう/二王
上は小池佐太郎の毛筆画習作。 手本にしたと思われる絵は 国立国会図書館デジタルコレクション『萬物雛形画譜』 の 5 に収載されています。
におう/仁王
東大寺南大門の仁王像は日本最大の木彫像(高さ8.42b)。樹皮付部材の年輪計測によると 1201年冬〜1202年春の間に伐採された(変動パターンから山口県産の)樹木であるという。ちなみに記録による仁王像の製作期間は1203年3月〜11月。におうもん/二王門
寺の楼門の左に密迩金剛、右に那羅金剛の二神を安置してある。にかい/二階
二層の意味で用いることもある。にかいばり/二階梁
階上床梁をいう。にかいだて/二階建て
二層の建物をいう。にがり/
にかわ/膠
牛等の皮、魚、蹄、骨などを水に浸した後、煮沸させたのを濾過し融解して更に沸騰させて製する。、にぎりはす/握蓮
勾欄の架木などを支えるため束上に設けた蓮葉の飾。にげあな/逃穴
寄蟻にする場合、その一方の蟻形、穴にしない方のこと。にけんのまでさんげんのひのきをつかう/二間の間で三間の檜を使う
左牴右觸する喩。にしきぎ/錦木
〜えびすが文をつくる木なりと能因はいえり〜 [倭訓栞]にじゅうおりあげてんじょう/二重折上天井
折上天井及び組天井。にじゅうこやばり/二重小屋梁
二重梁と同じ。にじゅうげぎょ/二重懸魚
二重の突出部のある懸魚。図はその一例。にじゅうさるがしら/二重猿頭
二腰屋根の上にあり、二段になる猿頭をいう。にじりあがり/躙上
茶室の入口。躙口。にじりぐち/躙口
茶庭から茶室に入るための極めて狭い出入り口。通常は引戸が付き、身をかがめて(にじりあがって)入室する。 昔は武士がここで刀を外し刀掛けにかけてから入室した。この出入口の引戸をにじりと/躙戸
昔は武士がにじり口で刀を外し刀掛けにかけてから入室した。この出入口の引戸のこと。にじゅうてんじょう/二重天井
天井上に更に野天井があるもの。にじゅうばり/二重梁
小屋組において梁を増すとき、空梁本梁の二本の梁を使用する。にじゅうしこう/二十四孝
(彫刻)元の時代に郭居敬(郭巨業?)が選んだ24の孝行物語を集めたもの。たとえば、 厳冬に生魚の欲しがる母のために凍った川の上で裸で寝ると、 氷がゆるみ魚がとび出てきたという「王祥」。年老いて噛むことのできない姑に 自分の乳房を含ませた「唐夫人」。貧乏なため蚊帳が買えず、自分の衣を親に着せて、 裸になった自分の身に蚊を集めたという八歳の「呉猛」。 満足に食物が行きわたらないほど貧乏なのに、老母が三歳の孫に自分の食事を 回してしまう。その母の身を案じて妻と謀り、我が子を埋め殺してしまおうとする「 郭巨」などで、彫刻(や落語)の題材にも用いられている。浜北市宮口の「庚申寺」には「二十四孝図絵馬」が奉納されているという。にじゅうどだい/二重土台
にずり/荷摺
荷摺板の略語。倉庫等の内部に張ってあり、重い物が接触しても破損しない程の板厚のもの。にしんせき/ニ神石
庭の正面両側に立つ。ニ王石。ニ柱石(にちゅうせき)。にそうせき/ニ相石
霊象石と体胴石の組み合わせ、五行石の組み方で、山頂、山腰または樹の根元におく。にそくさんもん/ニ足三文・二束三文
価の極めて低きをいう。にたかよったか/似たか寄ったか
「似たり寄ったり」ともいう。大同小異の意。にだんいし/ニ段石
一石で上下二段となっている石。多くは茶室の外で刀掛け石として用いられた。二番石。にぬり/丹塗
朱または丹などにて赤色にぬるものをいう。にのひら/二の平
掛瓦より一つ上にある平瓦。にのまい/二の舞
人の後にさしつぎて、よからぬ事する義、尤に倣い、覆轍を踏む類をいう。にばんいし/二番石
書院造り建物のうち一番石を沓脱石とし、軒内の石を二番石とする。茶室軒内では、一番を踏石、二番を落石(おとしいし)とする。にほんじん/日本人
現代の日本人が比較的均質であるため、昔から日本人だったかのように 思われがちですが、少なくとも七世紀末までは、国政の下に置かれた人々という 意味においての日本人(『日本國號論』という書物があるそうです)は存在せず、 日本列島に暮していた人々は、人種、宗教、言語、文化に大きな幅を持つ さまざまな集団が移り住んだものだと考えられています。日本も他の国と同様に 侵略と征服の歴史を持っていることから、日本の文化や建築が語られるとき、 その日本が実は本州の一部に限定されていたり、虚構によって歪められていることが ほとんど避けられないであろうことは承知しておくべきかもしれません。にほんのぶんか/日本の文化
けがれのない清浄さを求められた木は使い捨ての習慣を生み、年々障子を張り替え、畳を新しくするようになったという。にほんけんちく/日本建築
一万年続いたという縄文、日本列島には、さまざまな人種が雑居し(「日本人」の項参照)、多様性に満ちていたらしいです。そこへ弥生人の伝来、その稲作農耕が契機になり 大筋では大陸文明の影響を受けることになり、外来文化を吸収して独自な形で日本化してゆきます。ですから日本の風土や生活に調和した形で再構成された様式こそが、 和風への変容であり日本建築そのものと言えるようです。 /日本建築様式の在来工法による木造建築。社寺など和風の歴史的価値の高い建築物を模した建築。にほんさんけい/日本三景
⇒ 【 さんけい/三景 】に記した。明治時代に選ばれたものであるので、今日でも通用するかどうか。にほんきのつぼね/日本紀の局
紫式部の綽名。にまいかんな/二枚鉋
裏座を用いる鉋のこと。にまいほぞ/二枚
二つの平ほぞが重なること。または並べるもの。建具を組み合わす場合二枚並びにする。
にまいびらき/二枚開
戸または障子が二枚あり、各蝶番に取付けられ閉まるときは中央にて合い、開くときは左右に分かれるものをいう。観音開きと同じ。にめんぎり/二面切
石細工の一つの方法。にもち/荷持
荷を承る材をいう。にょうぼうとたたみはあたらしいがよい/女房と畳は新しいが良い
「女房は地獄の使い」「女房は掃き溜めから拾え」 「女房は貸すとも擂木は貸すな」など女房に関する諺が数多くある。にょうぼうはいえのだいこくばしら/女房は家の大黒柱
女房は大黒柱、その家の立てものとするは、夫は 外へかせぎに出れば女房は家を守る。「女房は家の固め」。にょうぼうはとこのまのおきもの/女房は床の間の置物
妻は一種の装飾品なりとの意。にらみ/睨み
ものの通りを見ること。にりんやたい/二輪屋台
御前崎市や菊川市の周辺で使われています。上図の屋台は、手木の長さが18尺、大八車は径5尺で櫛型が7枚、だし台と萬灯を挿した芯木が前後に動く造りになっています。修理や漆塗りのための組みバラシ(組み立てと解体)ができます。
にわ/庭
page285より引用 〜 上古「ニハ」という詞は唯場所のことで、作った庭園のことは島と称した。 それは池を掘り中島を築くを以て本義としたからである。 〜page286より引用 〜 是れでみると、最初は心目を慰める娯楽が目的ではなくて、仏教の信仰、功徳作善 の為に作ったのである。
(奈良朝時代に入っては、目を楽しませる目的。平安朝時代になっては、好事家の風雅趣味となる。)
国立国会図書館デジタルコレクションの関根正直著『史話俗談』 より。